- 2026年5月22日
側頭動脈炎を初期症状とした好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA):巨細胞を伴う稀な限定型症例の診断意義
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、気管支喘息や好酸球増多を前駆症状とし、中小血管の壊死性血管炎を呈する全身性疾患です。通常、EGPAは喘息、好酸球増多、そして血管炎期という段階を経て進行しますが、稀に中型血管(側頭動脈、脳血管、冠動脈など)の病変が初期症状として現れることがあります。
今回も症例報告です。79歳女性。約1ヶ月続く側頭部頭痛、顎跛行(あごの痛み)、めまい、および一過性の視力障害を主訴に来院しました。身体所見では両側の側頭動脈の著明な腫大と圧痛を認め、超音波検査で「ハローサイン(低エコー域)」が確認されたことから、一見すると典型的な巨細胞性動脈炎(GCA)が疑われました。しかし、患者には50代からの喘息既往と半年前からの副鼻腔炎があり、血液検査では著明な好酸球増多(6,968/μL)、IgE高値、およびMPO-ANCA陽性(154 U/mL)が認められました。また、胸部CTでは肺内に複数の結節影が確認されました。
側頭動脈生検(TAB)が施行され、組織学的検査では、内弾力板におけるリンパ球と多数の好酸球の浸潤を伴う肉芽腫性炎症が確認され、さらに多核巨細胞も1個認められました。この症例はGCAとEGPAの両方の診断基準を満たしましたが、ANCA陽性や肺病変、著明な好酸球増多を背景としていることから、「EGPAの初期症状として側頭動脈炎(中~大型血管炎)が生じたもの」と最終的に診断されました。
過去の文献レビューでは、EGPAに側頭動脈炎を合併した報告は11例確認されましたが、巨細胞を伴う側頭動脈炎がEGPAの「初期かつ唯一」の臨床症状として現れたケースは今回の報告が世界で初めてでした。治療としてステロイドパルス療法および高用量プレドニゾロンが開始され、症状と好酸球増多は速やかに改善しました。本症例は、高齢者の側頭動脈炎において、GCAのみならず背景にEGPAのような小型血管炎も合併している可能性を念頭に置き、詳細な問診(喘息既往など)と全身評価を行うことの重要性を示唆しています。













Nishimura T, Hosai M, Yamasaki R, et al. Temporal arteritis as an initial manifestation of eosinophilic granulomatosis with polyangiitis: a case report and a literature review. Modern Rheumatology Case Reports. 2021; 5(2): 337-341. (DOI: 10.1080/24725625.2021.1893944)
今回の学び
側頭動脈炎(あごの痛みや頭痛)の背後にEGPAのような小型血管炎が隠れているケースがある。生検しないと巨細胞由来なのか別が由来なのか分からない(本症例ではEos由来)。見落としのない適切な治療のためには生検が必要な場合があり適切な判断を要する。
柏五味歯科内科リウマチクリニック
ホームページ