- 2026年5月24日
シクロスポリンで起こる「PRES(可逆性後頭葉白質脳症)」とは?:視界の異常・頭痛・けいれんに注意が必要な“脳の副作用”を解説【柏・我孫子のリウマチ・総合内科専門医】
「急に目が見えにくくなった」
「視界がぼやける」
「頭痛やけいれんが出た」
このような症状が、免疫を抑える薬の副作用として起こることがあります。
その代表のひとつが、
PRES(Posterior Reversible Encephalopathy Syndrome:可逆性後頭葉白質脳症)
です。
特に、
- シクロスポリン
- タクロリムス
- 抗がん剤
- 強い免疫抑制治療
などで起こることが知られています。
今回は、患者さんにも分かりやすく、
- PRESとは何か
- なぜ起こるのか
- どんな症状が危険か
- MRIで何が見えるのか
- 治療と予後
について解説します。
■PRESとは?
PRESは、
脳の血管や血流の調整がうまくいかなくなり、脳にむくみ(浮腫)が起こる病気
です。
特に脳の後ろ側(後頭葉〜頭頂葉)に異常が出やすいと言われていて、
- 視覚障害
- 頭痛
- 意識障害
- けいれん
などを起こします。
■名前の意味
Posterior(後方)
→ 後頭葉・頭頂葉に多い
Reversible(可逆性)
→ 原因を治療すると改善することが多い
Encephalopathy(脳症)
→ 脳機能障害
つまり、
「後ろ側の脳に起こる、改善可能な脳障害」
という意味です。
■今回の症例
35歳男性。
IgA腎症に対してシクロスポリン治療が開始されました。
その後、
- 頭痛
- 目のかすみ
- けいれん
を認め救急外来を受診。
血圧は 160/80 mmHg と高値でした。
MRIでは、
- 後頭葉
- 頭頂葉
を中心に特徴的な白い変化(浮腫)が認められました。
シクロスポリン中止後、画像は改善しました。
これは典型的なPRESの経過です。
■なぜPRESが起こるの?
完全には解明されていませんが、
「脳血管の調整異常」
が重要と考えられています。
通常、脳は血圧が多少変化しても、血流を一定に保つ仕組みがあります。
しかし、
- 急激な高血圧
- 免疫抑制薬
- 腎機能障害
- 重症感染症
- 妊娠高血圧症候群
などでこの調整機能が壊れると、
血液中の水分が脳へ漏れ出す
↓
脳がむくむ(血管原性浮腫)
↓
神経症状が出現
します。

■シクロスポリンでなぜ起こる?
シクロスポリンは非常に重要な薬ですが、
血管内皮(血管の内側)に影響
を与えることがあります。
その結果、
- 血管収縮
- 血流異常
- 血圧上昇
- 血液脳関門の障害
などが起こり、PRESにつながると考えられています。
どんな症状が危険?
PRESでは以下の症状が重要です。
■ 視覚異常
- 見えにくい
- ぼやける
- 視野が欠ける
- 一時的に見えなくなる
後頭葉は「視覚」を担当するため、
視覚症状が非常に多いのが特徴です。
■ 頭痛
突然の強い頭痛が出ることがあります。
■ けいれん
PRESでは比較的よく見られます。
時に重積発作(止まらないけいれん)になることもあります。
■ 意識障害
- ボーッとする
- 反応が悪い
- 混乱する
など。
◆MRIで何が見えるのか?
PRESではMRIが非常に重要です。
特にFLAIR画像やT2強調画像で、
後頭葉〜頭頂葉に白い変化
が見られます。
これは、脳がむくんでいるサインです。

■PRESは“脳梗塞”とは違う?
ここは非常に重要です。
PRESは、
「脳細胞が死ぬ病気」
というより、
「脳がむくむ病気」
です。
そのため早期治療で改善することがあります。
ただし重症化すると、
- 出血
- 脳梗塞
- 永久的障害
を残すこともあります。

■治療は?
最も重要なのは、
原因への対応
です。
具体的には、
- シクロスポリン中止・減量
- 血圧管理
- けいれん治療
- 全身状態改善
を行います。
多くは改善しますが、
「早期発見」が極めて重要です。

■放置するとどうなる?
重症化すると、
- 重度けいれん
- 出血
- 意識障害
- 呼吸管理
- 永久的神経障害
につながることがあります。
そのため、
「薬の副作用かもしれない」
と気づくことが非常に大切です。

■こんな方は早めに受診を
以下に当てはまる方は注意が必要です。
- シクロスポリン使用中
- タクロリムス使用中
- 腎疾患がある
- 血圧が高い
- 急な視覚異常
- 頭痛+けいれん
特に、
「見え方の異常」
は重要なサインです。
■まとめ
PRES(可逆性後頭葉白質脳症)は、
免疫抑制薬や高血圧などを背景に起こる“脳のむくみ”の病気
です。特に、
- 頭痛
- 視覚異常
- けいれん
が重要な症状です。
MRIで特徴的な変化を認め、早期治療により改善することがあります。
一方で、重症化すると後遺症を残すこともあるため、
「早めに気づくこと」
がとても大切です。
■柏・我孫子周辺で
- 頭痛
- 視覚異常
- けいれん
- 高血圧
- 腎疾患
- 膠原病・免疫抑制薬使用中
などがあり、原因不明でお困りの方は、柏五味歯科内科リウマチクリニックへご相談ください。
なにかお力になれるかもしれません。
※可逆性後頭葉白質脳症の症例はこちら
※症例一覧はこちらになります。
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