- 2026年5月28日
多発筋炎とは?
爪まわりの赤みや「毛細血管の異常」が診断のヒントになる自己免疫疾患です。【柏・我孫子のリウマチ専門医・総合内科専門医解説】
「最近、手の指の関節まわりが赤い」
「レイノー現象(寒いと指が白くなる)がある」
「なんとなく体がだるい」
このような症状の背景に、自己免疫疾患(膠原病) が隠れていることがあります。
今回は、爪のまわりの変化から診断につながった「多発筋炎(polymyositis)」の症例をもとに、患者さん向けに分かりやすく解説します。
■多発筋炎とは?
多発筋炎は、免疫の異常によって自分の筋肉を攻撃してしまう病気です。
主に
- 筋力低下
- 倦怠感
- 筋肉痛
- 飲み込みづらさ
- 間質性肺炎
などを起こすことがあります。
「皮膚症状」を伴う場合は、皮膚筋炎という病気に分類されることもあります。
■今回の症例
19歳男性。
- 3年前からレイノー現象
- 1年間続く倦怠感
- 顔や手の発疹
- 指関節の痛み
を認め、内科を受診しました。
診察では、
- 指の関節(MP関節・DIP関節)の赤み
- 爪の周囲の赤み(爪囲紅斑)
- 拡張した毛細血管
が確認されました。
■爪の周りが重要な診断ヒントになる
膠原病では、爪の周囲にある非常に細い血管(毛細血管)が障害されることがあります。
その結果、
- 爪の周囲が赤くなる
- 血管が拡張する
- 出血点がみられる
などの変化が現れます。
特に皮膚筋炎では、この「爪囲紅斑(そういこうはん)」が有名です。
■爪の毛細血管を拡大すると何が見える?
通常の毛細血管は細く整っています。
しかし自己免疫疾患では、
- 毛細血管が異常に太くなる
- 枝分かれする
- 新しい異常血管ができる
- 血流障害を起こす
などの特徴的変化が現れます。
これは「爪郭毛細血管異常」と呼ばれ、膠原病診断の大きなヒントになります。

■なぜレイノー現象が起こるのか?
レイノー現象とは、
寒さやストレスで
↓
血管が過剰に収縮
↓
指先の血流低下
↓
白色→紫色→赤色へ変化
する状態です。
膠原病では血管そのものに炎症や障害が起きるため、レイノー現象が出やすくなります。

■「筋力低下がない」のに多発筋炎?
今回の症例では、筋力は正常でした。
しかし、
- 皮膚所見
- 毛細血管異常
- 血液検査
- 皮膚生検
を総合的に評価し、「多発筋炎」と診断されました。
実際、膠原病では「典型的な症状が全部そろわない」ことも少なくありません。
だからこそ、
- 小さな皮膚変化
- 爪の異常
- レイノー現象
を見逃さないことが非常に重要です。
■治療は?
多発筋炎では、
- ステロイド
- 免疫抑制薬
- 生物学的製剤
などを用いて、異常な免疫反応を抑えます。
今回の症例でも、免疫抑制療法によって症状は軽快しました。
■放置するとどうなる?
病気が進行すると、
- 強い筋力低下
- 間質性肺炎
- 嚥下障害
- 呼吸障害
などにつながることがあります。
そのため、早期診断・早期治療が非常に重要です。
■こんな症状があれば早めに受診を
- 指が寒さで白くなる
- 爪まわりが赤い
- 手の関節周囲に赤みがある
- 原因不明のだるさ
- 筋肉が疲れやすい
- 階段がつらい
- 息切れがある
このような症状が続く場合、膠原病が隠れていることがあります。
■まとめ
多発筋炎・皮膚筋炎では、「筋肉」だけではなく「血管」や「皮膚」にも異常が現れます。特に、
- 爪囲紅斑
- 爪郭毛細血管異常
- レイノー現象
は重要な診断のヒントです。
「ただの手荒れかな?」と思うような変化の中に、自己免疫疾患が隠れていることもあります。
膠原病内科医・総合内科専門医は、こうした全身のサインを総合的に評価し、早期診断につなげています。
※今回の症例・多発筋炎の爪周囲紅斑および拡張写真はこちら
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