• 2026年7月13日

【柏市我孫子市・総合内科】「大人の麻疹(はしか)」は終わっていない。耳の後ろから広がる発疹とワクチンが守る体の仕組み

圧倒的な感染力を持つウイルス。口の中の「コプリック斑」と、自分と社会を守る防衛線の重要性

「はしか(麻疹)」と聞くと、子どもの病気や、すでに過去のものになった病気だと思われるかもしれません。しかし、免疫を持たない大人が感染すると重症化しやすく、肺炎や脳炎といった命に関わる合併症を引き起こす非常に恐ろしい感染症です。今回、権威医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて、ワクチン未接種の26歳男性における典型的な「麻疹」の症例が報告されました。麻疹ウイルスは極めて感染力が強く、同じ空間にいるだけで空気感染するため、人の移動が活発な現代社会においては、いつでもアウトブレイク(集団感染)の火種になり得ます。今回はこの最新の症例報告に基づき、麻疹ウイルスが引き起こす特徴的な症状の「体の仕組み」と、大人のワクチン接種の重要性について柏我孫子の総合内科専門医が解説します。

1. 耳の後ろから全身へ:麻疹の特徴的な「体の仕組み」

報告された26歳の男性は、これまで健康でしたが、5日間にわたる発熱、吐き気、嘔吐の後に、かゆみを伴う発疹が現れて救急を受診しました。この発疹は「耳の後ろ」から始まり、わずか24時間の間に顔面から体幹部(全身)へと一気に広がっていきました。 麻疹ウイルスは気道から体内に侵入し、リンパ節で増殖した後、血液に乗って全身の皮膚や臓器に到達します。このウイルスに対する体の激しい免疫反応が、強烈な発熱と全身の赤い発疹(紅斑や丘疹)を引き起こすという体の仕組みです。また、この患者さんの頬の内側(お口の粘膜)には「コプリック斑」と呼ばれる境界のくっきりした白い小さな斑点が多数見られました。これは麻疹の初期に現れる非常に特徴的なサインであり、診断の強力な決め手となります。

2. 圧倒的な感染力と、たった1人から始まる連鎖

男性は中東からの難民であり、麻疹、ムンプス(おたふく風邪)、風疹のワクチン接種歴がありませんでした。血液検査(IgM・IgG抗体)およびPCR検査の結果、男性は「麻疹」と確定診断されました。 麻疹の最も恐ろしい点は、その「圧倒的な感染力」です。インフルエンザや新型コロナウイルスとは異なり、麻疹は同じ部屋の空気を吸うだけで感染する「空気感染」を起こし、免疫のない人がウイルスに触れると「ほぼ100%」発症します。この症例でも直ちに保健所への報告と接触者の追跡が行われ、結果的にさらに5人の感染者が特定されました。迅速な介入により幸い大規模なアウトブレイクには至りませんでしたが、免疫の壁がないと、たった1人の感染からあっという間に地域社会へとウイルスが広がってしまうのです。

3. 合併症の恐怖と、唯一の対抗策である「ワクチン」

この男性は解熱剤の投与などにより、幸いにも2週間後には合併症なく回復しました。しかし、麻疹にはウイルスの増殖を直接抑える特効薬がありません。成人の麻疹は重症化しやすく、肺炎や中耳炎、さらには数年から十数年後に発症して確実に死に至る「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という恐ろしい脳の合併症のリスクも潜んでいます。 麻疹を防ぐ唯一かつ最も確実な方法は「ワクチン接種(MRワクチンなど)」によって、あらかじめ体に抗体という強力な武器を作っておく体の仕組み(免疫)を獲得することです。

4. 自分の免疫状態を知り、社会を守る

日本では過去のワクチン接種制度の変遷により、現在20代〜50代の世代の中に「ワクチンを1回しか打っていない」、あるいは「打ったかどうかわからない」という免疫のすき間(空白世代)が存在します。海外からの渡航者が増え、ウイルスが容易に国境を越える現代において、「自分は大丈夫」という油断は禁物です。 なお、高熱と発疹が出た場合は、待合室での感染を広げないために「直接受診せず、まずは医療機関へ電話で相談する」ことが鉄則です。

柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、感染症がどのようにして発症し、周囲に広がっていくのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、皆様の健康管理をサポートいたします。麻疹や風疹の抗体検査をはじめ、大人になってからの予防接種(帯状疱疹、肺炎球菌ワクチンなど)のスケジュール管理を通じて、ご自身とご家族、そして地域社会を恐ろしい感染症から守る防衛線を構築します。ご自身のワクチンの記録が分からない方や、免疫力に不安がある方、また妊娠前で抗体をしっかり確認しておきたいという方は、柏・我孫子エリアのかかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。私たちは、皆様が感染症の恐怖から解放され、安心して生活できる環境づくりを全力でサポートいたします。

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Maximilian Lammer, Barbara C. Böckle. “Primary Measles Infection.” New England Journal of Medicine. 2026;394:906.

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