- 2026年5月23日
慢性リンパ性白血病(CLL)に関連する「クリオグロブリン血症性血管炎」とは?:寒さで悪くなる皮膚疾患
寒さで悪化する紫斑・皮膚症状に注意【柏・我孫子の総合内科専門医解説】
「冬になると皮膚が紫色になる」
「足に細かい紫斑が増えてきた」
「血液の病気があると言われている」
このような症状の背景に、“血液中の異常タンパク”による血管炎が隠れていることがあります。
今回解説するのは、
慢性リンパ性白血病(CLL)に続発したⅠ型クリオグロブリン血症性血管炎
という比較的まれな病気です。
名前は難しく感じますが、
- 「寒さで固まりやすい異常タンパク」
- 「小さな血管を詰まらせる」
- 「皮膚症状や血流障害を起こす」
という病態です。
今回は、患者さん向けにできるだけ分かりやすく解説します。
■クリオグロブリンとは?
クリオグロブリンとは、
“冷えると固まりやすくなる異常なタンパク質”
のことです。
通常、血液中のタンパクは体温で安定しています。
しかし一部の異常タンパクは、
- 気温低下
- 手足の冷え
- 冬場
などで固まりやすくなります。
すると血流が悪くなり、
- 紫斑(紫色の皮膚変化)
- 痛み
- しびれ
- 潰瘍
- 血管炎
などを起こすことがあります。
■Ⅰ型クリオグロブリン血症とは?
クリオグロブリン血症にはいくつか種類があります。
Ⅰ型の特徴
Ⅰ型では、
1種類の異常タンパク(単クローン性免疫グロブリン)
が増えるのが特徴です。
特に関係する病気として、
- 多発性骨髄腫
- マクログロブリン血症
- MGUS
- 慢性リンパ性白血病(CLL)
などの血液疾患があります。
今回のケースでは、
CLLに関連してIgG-λ型の異常タンパクが存在していました。
■CLL(慢性リンパ性白血病)とは?
CLLは、
リンパ球という白血球がゆっくり増える血液の病気
です。
比較的ゆっくり進行することも多く、
- すぐ治療しない
- 経過観察を行う
ケースも少なくありません。
しかし一部では、
- 免疫異常
- 異常タンパク産生
- 自己免疫現象
を合併することがあります。
その1つが、
クリオグロブリン血症性血管炎
です。
どんな症状が出るの?
代表的な症状
■ 紫斑(しはん)
皮膚に紫色の点状・斑状変化が出ます。
特に、
- 下腿
- 足
- 耳
- 鼻
- 頬
など、冷えやすい場所に出やすい特徴があります。
■ 寒さで悪化
この病気では、
「冬に悪化する」
ことが非常に重要なヒントになります。
冷えることで異常タンパクが沈殿しやすくなり、血流障害が起きるためです。
■ 痛みや潰瘍
重症化すると、
- 強い痛み
- 指先壊死
- 皮膚潰瘍
を起こすこともあります。
■ 神経障害・腎障害
さらに進行すると、
- しびれ
- 感覚障害
- 腎炎
- 血尿・蛋白尿
を伴う場合もあります。
今回の症例では尿異常はありませんでした。
なぜ紫色になるのか?

■血管炎とは?
血管炎とは、
血管に炎症が起きる状態
です。
今回の皮膚生検では、
白血球破砕性血管炎
という所見が確認されました。
これは、
小さな血管に炎症細胞が集まり、血管が傷ついている状態です。
診断には何が重要?
■ クリオグロブリン検査
血液を特殊条件で調べ、
冷却で沈殿するタンパクがあるか確認します。
■ 補体(C4低下)
クリオグロブリン血症では、
補体という免疫成分が低下することがあります。
今回もC4低下がみられていました。
■ 皮膚生検
皮膚を少し採取し、
- 血管炎
- 免疫沈着
を確認します。
診断に非常に重要です。
見た目だけでは分からないことがあります
皮膚の紫斑には、
- アレルギー
- 血小板減少
- 感染症
- 血管炎
- 血液疾患
など様々な原因があります。
そのため、
「ただの皮膚トラブル」
と自己判断しないことが重要です。

■治療はどうするの?
Ⅰ型クリオグロブリン血症では、
原因となる血液疾患の治療
が非常に重要です。
今回の症例では、
- シクロホスファミド(CY)
- リツキシマブ(RTX)
- フルダラビン
を用いた治療が選択されました。
これにより、
異常リンパ球や異常タンパクを減らし、症状改善を目指します。
日常生活で重要なこと
■ 冷え対策
非常に重要です。
- 冬場の防寒
- 手袋
- 厚手の靴下
- 長時間の寒冷曝露回避
などが役立ちます。
■ 皮膚変化を放置しない
特に、
- 紫色になる
- 左右差がある
- 冬に悪化
- 痛みを伴う
場合は早めの受診が重要です。

まとめ
慢性リンパ性白血病(CLL)に関連するⅠ型クリオグロブリン血症性血管炎では、
- 寒さで悪化する紫斑
- 血流障害
- 小血管炎
が起こることがあります。
特に、
- 冬に悪化する皮膚症状
- 下腿の紫斑
- 耳や鼻の変色
は重要なヒントになります。
背景に血液疾患が隠れている場合もあるため、
「ただの皮膚症状」
と考えず、総合的評価が大切です。
柏・我孫子で紫斑・血管炎・膠原病のご相談なら
- 原因不明の紫斑
- 血管炎
- 自己免疫疾患
- 関節リウマチ
- 膠原病
- 血液疾患に伴う免疫異常
について、総合内科専門医・リウマチ専門医の立場から診療しております。
「冬になると皮膚症状が悪化する」
「紫斑がなかなか治らない」
「血液疾患があり皮膚症状が出てきた」
などありましたら、お気軽にご相談ください。
※慢性リンパ性白血病(CLL)に続発する1型クリオグロブリン血症血管炎の実際の症例はこちら
柏五味歯科内科リウマチクリニック
ホームページ