- 2026年5月24日
性感染症だけではない?「単純ヘルペスウイルス(HSV)」による陰部潰瘍とは:HIV感染者で重症化することもある“ヘルペス感染症”を総合内科専門医が解説【柏・我孫子】
「陰部に痛いできものができる」
「繰り返し潰瘍ができる」
「治ったと思ってもまた再発する」
このような症状の原因として代表的なのが、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症です。
一般的には「性器ヘルペス」として知られていますが、実際には単なる性感染症(STI)として片付けられないケースもあります。
特に、
- HIV感染
- 免疫低下状態
- 糖尿病
- 抗がん剤治療中
- ステロイド・免疫抑制薬使用中
などでは、通常より重症化しやすく、潰瘍が大きくなったり、長引いたりすることがあります。
今回は、実際にみられた「HIV感染を背景に重症化したHSV感染症」をもとに、患者さん向けにわかりやすく解説します。
■単純ヘルペスウイルス(HSV)とは?
HSV(Herpes Simplex Virus)は、皮膚や粘膜に感染し、水ぶくれや潰瘍を作るウイルスです。
主に2種類あります。
| 型 | 主な部位 |
|---|---|
| HSV-1 | 口唇ヘルペスなど |
| HSV-2 | 性器ヘルペスが多い |
ただし近年では、口腔性交などの影響で部位は必ずしも固定ではありません。
■一度感染すると「体内に潜伏」します
HSVの特徴は、一度感染すると神経に潜伏することです。
そのため、
- 疲労
- ストレス
- 発熱
- 免疫低下
などをきっかけに再活性化し、繰り返し症状が出ることがあります。
「毎月同じ場所にできる」
「疲れると再発する」
という方は少なくありません。
※今回の症例です。閲覧注意です。
■今回のケースでは何が起きていたのか?
今回の症例では、
- HIV感染症が背景にある
- 繰り返す陰部潰瘍
- 通常より大きく深い病変
- 長期間改善しない
という特徴がありました。
通常のヘルペスは小さな水疱〜浅い潰瘍で終わることも多いですが、免疫が低下すると、
- 巨大潰瘍
- 深い組織障害
- 治癒遅延
- 二次感染
などを起こすことがあります。

■なぜHIVで重症化しやすいのか?
HIVは、体を守る免疫細胞(CD4陽性T細胞)を減少させるウイルスです。
すると、本来なら抑え込めるHSVが活発化しやすくなります。
特にCD4低下が進むと、
- HSV
- 帯状疱疹
- カンジダ
- ニューモシスチス肺炎
など、さまざまな感染症が起こりやすくなります。

■「ただの皮膚病」に見えても注意が必要です
陰部潰瘍にはさまざまな原因があります。
鑑別が必要な疾患
- 単純ヘルペス
- 梅毒
- ベーチェット病
- 真菌感染
- 腫瘍
- 外傷
- 薬疹
など。
特に、
- 長引く
- 繰り返す
- 痛みが強い
- 大きくなる
- 発熱を伴う
場合には、詳しい検査が必要です。

■診断には何をするの?
HSV感染症では、
- 病変の診察
- PCR検査
- ウイルス検査
- 病理検査
- HIV検査
- STI検査
などを組み合わせて診断します。
今回の症例でも、病変の組織検査とウイルス解析によりHSV-2感染が確認されました。
■治療は?
治療の中心は抗ウイルス薬です。
代表的には、
- バラシクロビル
- アシクロビル
- ファムシクロビル
などが使用されます。
重症例では点滴治療が必要になることもあります。
また、HIV治療(抗レトロウイルス療法)をしっかり継続することも非常に重要です。

■再発を繰り返す場合もあります
HSVは完全に体から消えるわけではないため、再発を繰り返すことがあります。
頻回再発例では、
- 再発抑制療法
- 長期少量内服
が検討されることもあります。
「何度も同じ場所にできる」場合には、早めに医療機関へ相談することが重要です。

■パートナーがいらっしゃる方へ
ヘルペスは症状がない時でもウイルスが排出され、パートナーへ感染させるリスクがあります。しかし、抗ウイルス薬を毎日少量飲み続ける「再発抑制療法」を行うことで、そのリスクを下げることが可能です。 また、口唇ヘルペスが原因で性器ヘルペスになることもあります。お互いの健康を守るため、症状がある時はもちろん、普段からの付き合い方や検査について、パートナーと一緒に話し合うきっかけにしてください。
■まとめ
単純ヘルペスウイルス(HSV)は非常にありふれたウイルスですが、免疫状態によっては重症化することがあります。
特に、
- HIV感染
- 免疫抑制状態
- 長引く陰部潰瘍
- 繰り返す病変
がある場合には、単なる皮膚トラブルではなく、背景疾患を含めた評価が重要です。
「なかなか治らない」
「繰り返す」
「大きく悪化してきた」
そのような症状がある場合には、早めの受診をおすすめします。
■柏・我孫子周辺で「繰り返す皮膚症状」「原因不明の潰瘍」でお悩みの方へ
当院では、
- 総合内科専門医
- リウマチ専門医
として、感染症・免疫疾患・皮膚症状を含めた総合的診療を行っております。
「どこに相談すればいいかわからない」
そのような症状でも、お気軽にご相談ください。
※今回の症例です。閲覧注意事項を含みます。
症例一覧です。参考にしてください。
https://kashiwa-gomi-shikanaika.com/blog/category/medical_science/%e7%97%87%e4%be%8b
柏五味歯科内科リウマチクリニック
ホームページ