- 2026年5月25日
悪性黒色腫(原発性びまん性髄膜悪性黒色腫)とは?:頭痛・吐き気から見つかることがある「まれながん」を柏・我孫子の総合内科専門医が解説
「頭痛が続く」
「吐き気がある」
「原因不明の神経症状が出てきた」
こうした症状の背景には、まれではありますが脳や脊髄を包む膜(髄膜)に発生する悪性黒色腫が隠れていることがあります。
今回ご紹介するのは、
「原発性びまん性髄膜悪性黒色腫」
という非常に珍しい病気です。
名前だけ聞くと難しく感じますが、
- どんな病気なのか
- なぜ頭痛が起きるのか
- どうやって診断するのか
- なぜ治療が難しいのか
を、できるだけ分かりやすく解説します。
■悪性黒色腫(メラノーマ)とは?
悪性黒色腫(メラノーマ)は、
「メラノサイト」
という色素を作る細胞から発生するがんです。
一般的には、
- 皮膚
- 爪
- 目
などに発生することが多い病気です。
しかし非常にまれに、
脳や脊髄を包む“髄膜”
に発生することがあります。
■「原発性びまん性髄膜悪性黒色腫」とは?
通常のメラノーマは「しこり」を作ります。
一方、この病気では、
髄膜全体にびまん性(広範囲)に広がる
特徴があります。つまり、
「脳の表面全体に黒色腫細胞が広がっていく」
ような状態です。
そのため、
- 頭痛
- 吐き気
- 意識障害
- けいれん
- 神経症状
などを引き起こします。

■なぜ頭痛や吐き気が起きるのか?
この病気では、
髄液(脳脊髄液)の流れ
が障害されることがあります。
すると、
- 脳の圧力が上がる
- 水頭症になる
- 頭蓋内圧が上昇する
ことで、
- 強い頭痛
- 吐き気
- 嘔吐
- 意識障害
などが起こります。

■MRIでどんなことが分かるのか?
MRIでは、
- 髄膜の異常な造影
- 脳表の異常信号
- 水頭症
などが見つかることがあります。ただし、
見た目だけでは
- 髄膜炎
- リンパ腫
- 他の腫瘍
との区別が難しいこともあります。

■診断には「髄液検査」が重要
脳脊髄液(髄液)を調べると、がん細胞が見つかることがあります。
顕微鏡で確認すると、
- 黒い色素を含む細胞
- 異常な大型細胞
が確認されます。
ただし、初回検査では見つからないこともあり、繰り返し検査が必要になる場合があります。

■治療は?
治療としては、
- 手術
- 放射線治療
- 免疫療法
- 分子標的薬
などが検討されます。
しかしこの病気は、
発見時には広範囲に広がっていることが多い
ため、治療が難しいケースも少なくありません。また、
一般的な皮膚メラノーマでみられる
BRAF遺伝子変異
が陰性の場合、使用できる薬が限られることがあります。

■早期発見はできる?
残念ながら、この病気は非常にまれで、初期症状も
- 頭痛
- 吐き気
- 発熱
など一般的な症状に似ています。そのため、
「ただの体調不良」
と思われやすい病気です。しかし、
- 症状が急速に悪化する
- 強い頭痛が続く
- 神経症状が出る
- 水頭症がある
場合には、詳しい検査が必要になります。

■まとめ
原発性びまん性髄膜悪性黒色腫は、脳や脊髄を包む髄膜に広がる非常にまれな悪性腫瘍です。
- 頭痛
- 吐き気
- 水頭症
- 神経症状
などで発症することがあります。診断には、
- MRI
- 髄液検査
- 病理検査
が重要になります。非常に難しい病気ではありますが、
「原因不明の神経症状を丁寧に調べる」
ことが診断につながります。
気になる症状が続く場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
※今回のおおもとの症例はこちらになります。
※今回はがん(腫瘍)によるものでしたが、お薬などの副作用による「脳のむくみ」によるものの症例です。専門医がどうMRIで判別しているかを示しています。
※原発性髄膜悪性黒色腫は「ただの体調不良」と思われやすいのと同様に、パジェット病も「ただの湿疹」と見過ごされやすい稀ながんです。
※「頭痛」だけでなく「ふらつき」から重大な脳疾患が見つかることがあります。「めまい・ふらつき」カテゴリの中に自分の症状がないか確認してみてください。
※MRI検査でどのようなことが分かるのか、他のMRI症例も共有しておきます。
柏五味歯科内科リウマチクリニック
ホームページ