- 2026年5月24日
多発性骨髄腫で「目が白くなる」ことがある?角膜免疫グロブリン沈着による“かすみ目”とは【柏・我孫子の総合内科専門医が解説】
「最近、目がかすむ」
「白っぽく見える」
「視力が落ちてきた」
このような症状があると、多くの方は
- 白内障
- ドライアイ
- 加齢
などを心配されます。
しかし、ごくまれに血液の病気が“目”から見つかることがあります。
その代表の一つが、多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)です。
今回は、実際に報告されている
「角膜(黒目)に免疫グロブリンが沈着して、視界が白く曇る」
という特殊な病態について、患者さん向けにわかりやすく解説します。
■多発性骨髄腫とは?
多発性骨髄腫は、
“異常な形質細胞”が増える血液の病気
です。
形質細胞は本来、
- 抗体(免疫グロブリン)
を作って感染から体を守っています。
しかし多発性骨髄腫では、
- 異常な抗体
- 質の悪い免疫グロブリン
が大量に作られてしまいます。
これが、
- 腎臓
- 骨
- 神経
- 血液
- 眼
など全身に影響を与えることが多発骨髄腫ではあります。
■「角膜が白く曇る」とは?
角膜は、目の前面にある
透明な“窓”
です。
通常は完全に透明なので、光が網膜へ届きます。
しかし一部の多発性骨髄腫では、
異常な免疫グロブリン(IgGκなど)が角膜に沈着
することがあります。
すると、
- 白く濁る
- キラキラした沈着
- 霧がかかったような視界
が出現します。
■実際の症状
患者さんでは、
- かすみ目
- 視力低下
- まぶしさ
- 白っぽく見える
などがみられます。
ゆっくり進行することも多く、「年齢のせいかな」と思われることもあります。
■眼科でどう見える?
眼科では、
- 角膜の白濁
- 微細な結晶沈着
が確認されます。
細隙灯顕微鏡という特殊な顕微鏡で見ると、
キラキラした結晶様沈着
が見えることがあります。
これは非常に特徴的です。
■眼だけの病気ではない
ここがとても重要です。
角膜沈着は、
“目の病気そのもの”ではなく、全身病のサイン
であることがあります。
そのため眼科だけで終わらず、
- 血液検査
- M蛋白検査
- 免疫グロブリン測定
- 骨髄検査
などが行われます。
■鑑別が必要な病気
角膜混濁をきたす病気には、
- 角膜ジストロフィー
- シェーグレン症候群
- シスチン症
- パラタンパク血症
などがあります。
つまり、
「目が白い=白内障」
とは限らないのです。
■なぜ重要なの?
多発性骨髄腫は、早期発見によって
- 腎障害
- 骨折
- 貧血
- 感染症
などを防げる可能性があります。
つまり、
“目の症状が命を守るきっかけ”
になりうるわけです。
■治療すると角膜は改善する?
原因である多発性骨髄腫を治療すると、角膜沈着が改善することがあります。
実際には、
- 化学療法
- 自家末梢血幹細胞移植
- 分子標的治療
などが行われます。病勢が落ち着くと、
- 角膜混濁改善
- 視力回復
につながることがあります。
■放置するとどうなる?
病状が進行すると、
- 視力低下
- 日常生活障害
- 骨病変
- 腎障害
- 全身状態悪化
につながる可能性があります。
そのため、
「原因不明の角膜混濁」
では全身評価が重要です。
■こんな症状は要注意
- 原因不明のかすみ目
- 両眼性の角膜混濁
- 視力低下
- 眼科で“珍しい沈着”を指摘された
- 貧血や腎機能異常もある
- 背中や腰の痛みがある
このような場合は、血液疾患が隠れていることがあります。
■まとめ
多発性骨髄腫では、異常免疫グロブリンが角膜に沈着し、視力障害を起こすことがあります。
これは非常にまれですが、
- “目”が全身病の入り口になる
- 眼科所見が命を救うことがある
という重要な病態です。
「ただの目のかすみ」と思っていた症状の背景に、全身疾患が隠れていることもあります。
気になる症状が続く場合は、かかりつけ医に相談し、鑑別を挙げてもらい精査につなげることが早期発見・早期治療の秘訣になります。


※今回の症例はこちら
※症例一覧はこちらになります。
https://kashiwa-gomi-shikanaika.com/blog/category/medical_science/%e7%97%87%e4%be%8b
今回の骨髄腫と同様に、血液の異常(免疫グロブリン)が原因で全身に症状が出る他のケースについても解説しています。
目がかすむ、白いと感じる際の重要な見分け方(鑑別疾患)の一つであるシェーグレン症候群についてはこちらをご覧ください。
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