- 2026年7月14日
麻疹感染後の亜急性硬化性全脳炎(SSPE):柏我孫子の総合内科専門医が解説
はしかは「終わった病気」ではない。7歳の命を奪った、潜伏するウイルスの真実
「麻疹(はしか)」は、高熱や全身の発疹を引き起こす非常に感染力の強いウイルス性疾患ですが、多くの方は「子どもの頃にかかれば治る」「一度かかればもう安心」と考えているかもしれません。しかし、麻疹ウイルスの本当の恐ろしさは、治った数年〜十数年後に突然発症し、脳を確実に破壊していく「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という致死的な合併症の存在にあります。 今回、権威医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて、生後7ヶ月で麻疹に感染した少年が、7歳になってからSSPEを発症し、命を落としてしまった痛ましい症例が報告されました。今回はこの最新の症例報告に基づき、麻疹ウイルスが脳に潜伏する「体の仕組み」と、唯一の命綱であるワクチン接種の重要性について柏我孫子の総合内科専門医が解説します。
1. 突然やってくる認知機能の低下と痙攣(けいれん)
報告されたのは7歳の男児です。彼は3ヶ月間にわたって認知機能が徐々に低下し、痙攣(けいれん)発作を起こすようになったため、高度医療機関を受診しました。受診時にはすでに言葉を話すことができず、全身の反射が異常に強くなっている状態でした。 脳のMRI検査では、前頭葉を中心とした広範囲な脳の腫れ(浮腫)と組織の破壊が見られ、脳波検査では「ラデルメッケル複合体」と呼ばれる、SSPEに非常に特徴的な異常な波形が確認されました。
2. 脳内でウイルスが目覚める「体の仕組み」
少年の髄液(脳や脊髄の周りを流れる液)を検査すると、麻疹ウイルスに対する抗体が異常な高値を示しており、「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」と確定診断されました。 この病気は、通常の麻疹に感染した後、ごく一部のウイルスが遺伝子に変異を起こして脳の細胞の中に静かに潜り込み、数年から十数年という極めて長い潜伏期間を経て脳全体に炎症を起こすという、非常に恐ろしい「体の仕組み」を持っています。特に、免疫機能が未熟な「1歳未満」で麻疹に感染した場合、将来SSPEを発症するリスクが劇的に高くなることが分かっています。
3. 特効薬のない致死的な病
SSPEは、発症すると性格の変化や知能の低下から始まり、歩行障害、全身の強い痙攣を経て、最終的には植物状態となり死に至る進行性の神経炎症性疾患です。現代の最新医学をもってしても、発症後にウイルスの増殖を止める有効な治療法(特効薬)は存在せず、この少年も最初の症状が出てからわずか12ヶ月後に亡くなりました。 彼が麻疹に感染したのは、麻疹が蔓延しているアフガニスタンに住んでいた生後7ヶ月の時でした。これは、麻疹ワクチンの通常の接種時期(1歳)よりも前の出来事であり、無防備な状態の赤ちゃんをウイルスが襲った残酷な結果と言えます。
4. 命を守る唯一の盾「ワクチン」と社会の防衛線
この悲しい症例が私たちに突きつけているのは、「麻疹の恐ろしい合併症を防ぐ唯一の絶対的な方法は、事前のワクチン接種である」という事実です。 子どもたちが1歳になってすぐにワクチンを打つことはもちろんですが、1歳未満のワクチンを打てない「小さな命」を守るためには、周囲にいる大人たちが抗体を持ち、社会全体で麻疹ウイルスを流行させない「集団免疫の壁」を築くことが不可欠です。麻疹は決して「昔の病気」ではありません。ご自身の免疫状態を今一度確認することが、未来の命を救う第一歩となります。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、ウイルスがどのようにして全身の臓器や脳にダメージを与えるのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、皆様の健康管理をサポートいたします。麻疹(はしか)や風疹の抗体検査をはじめ、将来の妊娠に向けたプレコンセプションケア、そして大人になってからの各種予防接種(肺炎球菌、帯状疱疹ワクチンなど)のスケジュール管理を通じて、ご自身とご家族、そして地域社会を恐ろしい感染症から守る防衛線を構築します。ご自身のワクチンの記録が分からない方や、免疫力に不安がある方は、柏・我孫子エリアのかかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。私たちは、皆様が感染症の恐怖から解放され、安心して生活できる環境づくりを全力でサポートいたします。
■ 受診をご希望の方へ
👉 【医科】(柏我孫子の総合内科・かかりつけ医)WEB予約はこちらhttps://melmo-app.com/clinic/673d5e08785f0f0030870bdb/reservation?method=visit
👉 【歯科】(口腔内所見・むし歯・歯周病・根管治療・インプラントなど)WEB予約はこちらhttp://www.gomidental-kashiwa.com/reservation/
📞 お電話でのご予約・お問い合わせ(健康診断・ワクチンなど)
【医科】:04-7196-7531 【歯科】:04-7191-7081
🏥 柏五味歯科内科リウマチクリニック アクセス 〒277-0902 千葉県柏市大井764-1 バスでお越しの方:千代田常磐線 柏駅東口 東武バス1番乗場(「沼南車庫」「小野塚台」「手賀の丘公園」「布瀬」行き)よりバス15分 「大井」下車 徒歩1分 車でお越しの方:柏駅より約15分









Michael S. Kung, John Ross Crawford. “Subacute Sclerosing Panencephalitis after Measles Infection.” New England Journal of Medicine. 2026;394:e14.
■関連記事
1. 大人が麻疹にかかった際の「特徴的な症状」について知りたい方へ
今回の記事では数年後に起こる脳の合併症(SSPE)について解説しましたが、麻疹そのものも大人にとっては肺炎などを引き起こす命に関わる感染症です。麻疹ウイルスが体内でどのように増殖し、口の中の白い斑点(コプリック斑)や全身の発疹を引き起こすのかという体の仕組みについてご案内します。
2. 妊娠を希望される方、またそのご家族へ(プレコンセプションケア)
麻疹や風疹といった感染症は、妊娠中にかかると赤ちゃんに深刻な障害を引き起こす恐れがあり、また1歳未満の赤ちゃんは自力でワクチンを打つことができません。赤ちゃんを守るためには、妊娠する「前」に抗体検査を行い、ご家族全員で免疫の壁を確実につくっておく専門的なプレコンセプションケアが極めて重要です。
3. 大人の免疫低下が引き起こす「帯状疱疹」などの感染症が不安な方へ
SSPEは「昔かかった麻疹ウイルスが脳で目覚める」病気ですが、同じように「昔かかった水痘(水ぼうそう)ウイルスが神経で目覚める」ことで激しい痛みを引き起こすのが「帯状疱疹」です。加齢とともに崩れやすくなる免疫の壁を極限まで高め、大人の健康を守る最新のワクチン戦略について解説します。
柏五味歯科内科リウマチクリニック
ホームページ