• 2026年5月28日

喫煙関連疾患「DIP(剥離性間質性肺炎)」とは?

たばこが肺を壊していく“静かな炎症”

「最近、少し動くだけで息が切れる」

「咳が続く」

「健康診断で肺の異常を指摘された」

こうした症状の背景に、“喫煙による肺の炎症”が隠れていることがあります。

今回ご紹介するのは、

DIP(Desquamative Interstitial Pneumonia:剥離性間質性肺炎)

という病気です。

名前は難しく見えますが、実際には

「たばこの煙によって肺に炎症細胞がたまり、肺が傷んでいく病気」

です。特に重要なのは、

「禁煙によって改善できる可能性がある」

という点です。

■DIP(剥離性間質性肺炎)とは?

肺には「肺胞(はいほう)」という小さな袋が無数に存在し、ここで酸素を取り込んでいます。

しかし喫煙を続けると、

たばこの有害物質

肺胞に慢性的炎症

炎症細胞(マクロファージ)が大量に集まる

肺胞が傷つく

呼吸しづらくなる

という変化が起こります。

これがDIPです。

■どんな人に多いの?

もっとも多いのは、

喫煙者

です。特に、

長期間の喫煙歴
40〜50代以降
慢性的な咳
息切れ

がある方でみられます。

ただし、

受動喫煙
電子タバコ
職業曝露

などが関係することもあります。

■どんな症状が出るの?

代表的なのは、

  • 息切れ
  • 疲れやすさ

です。特に初期は、

「年齢のせいかな」
「運動不足かな」

と思われやすい点が特徴です。

進行すると、

「階段で苦しい」
「少し歩くだけで息切れ」
「酸素が必要になる」

こともあります。

■聴診では何が分かるの?

診察で胸に聴診器を当てると、

「パリパリ」「バリバリ」

という細かい異常音(捻髪音:fine crackles)が聞こえることがあります。

これは、

肺胞周囲に炎症

肺が硬くなる

呼吸時に異常音が出る

ためです。

■CTではどんな所見が出るの?

DIPでは胸部CTで、

「すりガラス影」

と呼ばれる白っぽい変化がみられます。

これは、

肺胞に炎症細胞がたまる

肺が少し白く見える

ためです。

特に両側の下肺野に出やすい特徴があります。

■なぜ診断が難しいの?

実はDIPは、

他の間質性肺炎
肺感染症
過敏性肺炎
膠原病肺

などと見た目が似ることがあります。

そのため、

  • 喫煙歴
  • CT画像
  • 呼吸機能
  • 血液検査
  • 必要時:肺生検

を組み合わせて診断します。

■肺生検では何が分かるの?

顕微鏡で肺組織をみると、

肺胞の中に大量のマクロファージ

が確認されます。

これは、

「たばこの煙を処理しようとして集まった細胞」

です。

DIPではこの所見が非常に特徴的です。

■治療で最も重要なのは?

最重要なのは、

禁煙

です。

ここが非常に重要です。

DIPは、

「喫煙を続ける限り悪化する可能性が続く病気」

だからです。逆に、

禁煙によって改善する方も少なくありません。

■ステロイド治療を行うこともある

炎症が強い場合には、

ステロイド

を使用することがあります。

目的は、

肺の炎症を抑える

肺障害進行を防ぐ

ことです。ただし、

感染症リスク
糖尿病
骨粗鬆症

などの副作用にも注意が必要です。

■放置するとどうなるの?

進行すると、

肺が硬くなる
酸素が取り込みにくくなる
呼吸不全

へ進むことがあります。

一方で、

早期発見
禁煙
適切治療

によって改善が期待できる病気でもあります。

■今回の症例で重要なポイント

今回の症例では、

  • 喫煙歴
  • 息切れ
  • CTのすりガラス影
  • 肺生検でのマクロファージ蓄積

からDIPが診断されました。

そして、

禁煙によって改善

が得られています。

これは、

「肺は完全には元に戻らなくても、早期なら回復力を持っている」

ことを示しています。

■まとめ

DIP(剥離性間質性肺炎)は、

喫煙によって起こる間質性肺炎の一種

です。

初期は軽い息切れだけのこともありますが、

放置すると呼吸不全へ進行することがあります。

しかし、

  • 早期診断
  • 禁煙
  • 適切治療

によって改善が期待できます。

特に、

「長年喫煙していて最近息切れがある」

という方は、一度呼吸器評価を受けることが重要です。

肺からの“静かなSOS”を見逃さないことが大切です。

今回の症例はこちらです。

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