- 2026年5月28日
孤立性尺骨骨幹部骨折(警棒骨折)とは?
「前腕の骨が1本だけ折れる」特徴的な骨折を柏・我孫子の総合内科専門医が解説
「腕を強くぶつけたあとから前腕が痛い」
「手をついてから腕に力が入らない」
「前腕が腫れて動かすと痛い」
このような症状の背景に、“孤立性尺骨骨幹部骨折” が隠れていることがあります。
これは別名、
「警棒骨折(nightstick fracture)」
とも呼ばれる特徴的な骨折です。
今回は、
- 孤立性尺骨骨幹部骨折とは何か
- なぜ起きるのか
- どんな症状が出るのか
- 治療法
- 注意点
を総合内科専門医が分かりやすく解説します。
■尺骨ってどこの骨?
前腕(ひじ〜手首)には、
- 橈骨(とうこつ)
- 尺骨(しゃっこつ)
という2本の骨があります。

■孤立性尺骨骨幹部骨折とは?
これは、
「尺骨だけが単独で折れる骨折」
です。通常、前腕に強い外力が加わると2本とも折れることがあります。
しかし警棒骨折では、
- 尺骨だけ
- 前腕中央付近
- 横方向からの衝撃
で折れることが多いのが特徴です。
■なぜ「警棒骨折」と呼ばれるの?
昔、警棒で腕を防御した際に起こりやすかったため、
「警棒骨折」
という名前が付いています。つまり、
「とっさに腕で身を守った時の骨折」
とも言えます。
■どんな時に起こるの?
よくある原因は、
- 転倒
- スポーツ
- 喧嘩・衝突
- 棒状のものが当たる
- 手をついてひねる
などです。今回の症例でも、
- バットで殴られた
- 手で防御した
- 前腕に強い外力が加わった
という経過でした。
■どんな症状が出るの?
代表的なのは、
- 前腕の強い痛み
- 腫れ
- 押すと痛い
- 腕に力が入らない
- 手をひねると痛い
などです。特に重要なのが、
「前腕の回旋(ひねる動き)で痛みが強い」
という点です。
■回旋って何?
前腕は、
- 手のひらを上に向ける
- 下に向ける
という「回す動き」ができます。
これは橈骨と尺骨が協調して動くためです。

■なぜ注意が必要なの?
一見すると「単なる骨折」に見えますが、実は、
- 肘関節脱臼
- 橈骨頭脱臼
- 手関節不安定性
- 神経障害
を伴うことがあります。
特に重要なのが、
モンテジア骨折との鑑別
です。
■モンテジア骨折とは?
これは、
- 尺骨骨折
+ - 肘側の橈骨頭脱臼
を伴う危険な外傷です。見逃すと、
- 肘が動かなくなる
- 慢性痛
- 可動域障害
につながることがあります。

■検査は?
基本は、
レントゲン検査
です。今回の症例でも前腕X線で、
- 尺骨中央部骨折
- 他の大きな脱臼なし
を確認しています。必要に応じて、
- 肘
- 手関節
- CT
も追加します。
■治療はどうするの?
骨折のズレが少なければ、
- シーネ固定
- ギプス固定
で治療することがあります。一方、
- ズレが大きい
- 不安定
- 回旋でずれる
場合は、
手術(プレート固定)
が必要になります。
■手術では何をするの?
金属プレートとネジで、
骨を正しい位置に固定
します。
これにより、
- 骨癒合
- 回旋機能維持
- 変形予防
を目指します。

■放置するとどうなる?
ズレたまま治ると、
- 前腕が回らない
- 慢性痛
- 変形治癒
- 握力低下
につながることがあります。
特に前腕は、
「回旋機能」が非常に重要
なため、正確な治療が大切です。
■今回の症例の重要ポイント
今回の症例では、
- 防御時の外傷
- 尺骨単独骨折
- 回旋時痛
- 手術固定
という典型的特徴がみられました。また、
「暴力による受傷」
という社会的背景も重要でした。
実際には、
- 安全確保
- DV評価
- 社会的支援
- 精神的ケア
も医療の重要な役割になります。
■まとめ
孤立性尺骨骨幹部骨折(警棒骨折)は、
「前腕に直接強い力が加わって起こる特徴的骨折」
です。しかし重要なのは、
「単なる骨折で終わらせないこと」
です。特に、
- モンテジア骨折
- 関節不安定性
- 神経障害
を見逃さないことが大切です。前腕の強い痛みや腫れがある場合は、早めの整形外科受診が重要です。
■この記事のポイント
- 尺骨だけが折れる特徴的骨折
- 「警棒骨折」とも呼ばれる
- 防御動作で起こりやすい
- 肘脱臼の見逃しが重要
- 回旋機能を守る治療が必要
- 社会的背景への支援も重要になることがある
※今回の症例はこちらです
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