- 2026年6月21日
【柏我孫子市・アレルギー科】突然の腫れや激しい腹痛の原因は?「遺伝性血管性浮腫(HAE)」とブラジキニンの暴走を防ぐ最新の予防薬
痒みのない腫れと息苦しさ。難病指定されるHAEの「体の仕組み」と発作ゼロを目指す治療
「唇や手足が突然パンパンに腫れ上がり、数日引かない」「原因不明の激しい腹痛や吐き気を繰り返す」「時々、喉が腫れて息苦しくなることがある」——このような症状にお悩みではありませんか?蕁麻疹のように見えても「全く痒みがない」場合、それはただのアレルギーではなく、「遺伝性血管性浮腫(HAE:Hereditary angioedema)」という国の指定難病かもしれません。この病気は、放置すると喉の腫れによって窒息死に至る危険性もありますが、近年「生物学的製剤(注射薬)」による長期予防治療が登場し、発作の不安がない日常生活を送ることが可能になってきました。今回は、日本アレルギー学会の最新の手引き2025に基づき、HAEが起こる体の仕組みと、画期的な予防薬について柏我孫子のアレルギー総合内科専門医が解説します。
1. なぜ突然腫れるのか?「体の仕組み」とブラジキニンの暴走
一般的な蕁麻疹は「ヒスタミン」という物質が原因で痒みを伴いますが、HAEの発作の主な原因は「ブラジキニン」という全く別の物質です。 健康な人の体には、ブラジキニンが作られすぎないようにブレーキをかける「C1-インヒビター(C1-INH)」というタンパク質があります。しかし、HAEの患者様は、遺伝子の変異(SERPING1遺伝子など)により、生まれつきこのC1-INHが足りない、あるいはうまく働かない状態にあります。そのため、疲労、ストレス、歯科治療などの些細な刺激をきっかけにブレーキが効かなくなり、血清中の「カリクレイン」という酵素が活性化してブラジキニンが大量に作られてしまいます。この大量のブラジキニンが血管に作用して水分を漏れ出させることで、皮膚や胃腸、喉に恐ろしい腫れ(浮腫)を引き起こすのです。
2. 発作が起きる前に元を絶つ「最新の長期予防薬」
これまでは、発作が起きてから急いで薬を使う「オンデマンド治療」が中心でしたが、現在は「そもそも発作を起こさせない」ための長期予防薬が普及しています。 その代表的なお薬が**ラナデルマブ(商品名:タクザイロ®)**という最新の皮下注射薬です。このお薬は、ブラジキニンを作り出す工場である「血漿カリクレイン」の働きをピンポイントでブロックし、過剰なブラジキニンの生成を元から防ぎます。
3. ラナデルマブの治療成績と投与方法
臨床試験では、このお薬を使った患者様の約42%が「半年間、一度も発作が起きなかった(連続無発作)」という極めて優れた結果が示されており、全体でもプラセボ(偽薬)と比べて発作の頻度を約87%も減少させることが証明されています。 対象となるのは成人および12歳以上の小児です。通常は2週間に1回、ご自身で皮下注射(在宅自己注射)を行いますが、発作が起きていない安定した状態が続けば、注射の間隔を4週間に1回へと延ばすことも可能です。
4. 専門医による正確な診断とトータルサポートを
HAEは非常に稀な病気であるため、「原因不明の腹痛」や「治りにくいアレルギー」として長年見過ごされている患者様が少なくありません。特殊な血液検査(C1-INHの量や働きを調べる検査)で確定診断を行うことが治療の第一歩です。「痒みのない腫れを繰り返している」「原因不明の腹痛を繰り返す」「家族に同じような症状の人がいる」という方は、一人で悩まずに、ぜひ一度、総合内科・アレルギー疾患の専門医がいる当院へご相談ください。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科・アレルギー専門医の視点から、遺伝性血管性浮腫に隠された遺伝的な背景や、カリクレインとブラジキニンによる複雑な浮腫のメカニズムを、「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら解明し、あなたに最適な予防治療をご提案します。私たちは、柏・我孫子エリアの皆様が、いつ起きるか分からない発作の恐怖から解放され、旅行や仕事、そして毎日の生活を安心で健やかに楽しめるよう、全力でサポートいたします。
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日本アレルギー学会. “アレルギー総合診療のための分子標的治療の手引き 2025”
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