- 2026年7月2日
【柏市・我孫子市】かかりつけ医の意義。身近な場所での継続的なケアの重要性をINTE-COMM試験(HIV、糖尿病、高血圧の統合的コミュニティケア試験)の結果をもとに考察・解説。総合内科専門医。
大病院より「身近な場所」の意味。治療継続率90%以上を達成した画期的な証明
高血圧や糖尿病といった慢性疾患の治療において、最も難しく、かつ重要なことは何でしょうか?それは「お薬による治療を途絶えさせずに継続すること」です。しかし、忙しい日常生活の中で定期的に病院へ通う負担は大きく、世界中で多くの患者様が治療を中断して深刻な合併症を引き起こしています。 この通院ハードルを劇的に下げるための取り組みがアフリカ(タンザニアとウガンダ)での「INTE-COMM試験」を例にとり発表されました(『The Lancet』)。これは、遠くの病院に通うのではなく、地域の身近な場所でケアを受けることで、慢性疾患がいかに改善するかを証明した大規模な研究です。今回は現代の医学が直面する、病気を放置せずにコントロールし続けることの重要性と、全身の血管や臓器を守る「体の仕組み」について柏市・我孫子市の総合内科専門医が解説します。
1. 慢性疾患が体を蝕む「仕組み」と通院の壁
高血圧や糖尿病は、初期には全く自覚症状がありません。しかし、血圧が高い状態や血糖値が高い状態が続くと、全身の血管に常に強い圧力がかかり続け、血管の内側が傷ついてボロボロになっていきます(動脈硬化)。この静かなる体の仕組みの連鎖により、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる事態を引き起こします。これを防ぐためには生涯にわたる継続的なお薬の服用が必要ですが、大病院の長い待ち時間や通院そのものの負担が、治療を続ける上で大きな壁となっていました。
2. 身近な地域でトータルケアを行う「コミュニティケア」
今回の試験では、HIV、糖尿病、高血圧のいずれか(または複数)を抱える患者様を対象に、「病院(施設)でケアを受けるグループ」と、「地域の集会所や学校などで看護師や専門スタッフからまとめてケアを受けるグループ(コミュニティケア)」に分け、1年間にわたって追跡調査を行いました。 コミュニティケアでは、患者様がグループとなり月に1回、身近な場所で血圧や血糖値の測定、お薬の受け取り、健康相談を行うという画期的なアプローチがとられました。
3. 大規模試験が証明した「身近なケア」の絶大な効果
その結果、コミュニティケアを受けたグループは、病院でケアを受けたグループと比較して、血圧や血糖値のコントロール率が全く遜色ない(劣らない)ことが証明されました。さらに、HIVのウイルスを抑え込む割合も99%と極めて高く、複数の病気を身近な場所でまとめて診る「統合型コミュニティケア」の安全性が確認されました。 最も注目すべきは、コミュニティケアのグループでは「予約のキャンセル(受診忘れ)」が病院グループよりも少なく、1年後の治療継続率が93%以上と驚異的な数字を叩き出したことです。
4. 日本の私たちへの教訓:身近な「かかりつけ医」の活用
この研究が教えてくれる本質は、アフリカだけの話ではありません。日本においても、高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病、肝疾患、自己免疫疾患などは、長く付き合っていく必要のある病気です。どれほど良い薬があっても、受診が途切れ、治療が中断されてしまえば、その効果は十分に発揮されません。
大切なのは、「どこで治療を受けるか」以上に、「無理なく続けられる場所で、継続して診てもらえるか」です。
遠くの大病院に通うことが必要な場面ももちろんあります。高度な検査や専門的治療、入院治療が必要なとき、大病院の役割は非常に大きいものです。一方で、病状が安定している慢性疾患では、身近なかかりつけ医で、血圧、血糖、脂質、肝機能、腎機能、薬の副作用、生活背景まで含めて継続的に診てもらうことが、結果的に血管や臓器を守ることにつながります。
私は大病院での診療と、地域のクリニックでの診療の両方を経験しています。その中で感じるのは、大病院には「疾患を深く診る力」があり、かかりつけ医には「その人の生活ごと診る力」があるということです。
もちろん、どちらが上という話ではありません。大病院とクリニックは対立するものではなく、患者さんを支えるために役割を分担するものです。
ただ、慢性疾患の治療継続という点では、「通いやすい」「相談しやすい」「自分のことを分かってくれている」という安心感が、とても大きな意味を持ちます。血圧や血糖値を下げる薬も大切ですが、その薬を飲み続けられる背景には、人と人とのつながりがあります。
「血圧が高いと言われたけれど、忙しくて受診できていない」
「糖尿病を指摘されたが、症状がないのでそのままにしている」
「複数の病院に通うのが負担になっている」
「どこに相談すればよいか分からない」
このような方は、自己判断で放置せず、まずは身近な総合内科に相談していただくことが大切です。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肝機能異常、腎機能異常、自己免疫疾患などを幅広く診療しています。病気だけを見るのではなく、その方の生活背景や通院しやすさも含めて、無理なく続けられる治療を一緒に考えていきます。
また、当院は医科と歯科が連携しているクリニックです。糖尿病や関節リウマチ、心疾患、骨粗鬆症など、全身の病気とお口の健康が関係する場面は少なくありません。内科と歯科が同じ場所で連携することで、患者さんをより立体的に支えることができます。
慢性疾患の治療で本当に大切なのは、「一度治療を始めること」だけではありません。続けられること、相談できること、生活の中で無理なく管理できることです。
柏市・我孫子市周辺で、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肝機能異常、関節リウマチ、膠原病などについてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。身近な場所で、長く安心して続けられる医療を一緒に考えていきます。
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Francis X Kasujja, et al. “Integrated community-based versus facility-based care for people with HIV, diabetes, and hypertension in sub-Saharan Africa (INTE-COMM): an open-label, multicountry, cluster-randomised trial.” Lancet 2026; 407: 1084–94.
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