- 2026年5月25日
亜鉛欠乏症で起こる「皮膚炎」とは?:赤ちゃんの口まわり・おしり・手足の湿疹に隠れる栄養不足【柏・我孫子の総合内科専門医解説】
「なかなか治らない湿疹がある」
「口のまわりやおしりが赤くただれる」
「皮膚科の薬を塗っても改善しない」
このような症状の背景に、“亜鉛不足” が隠れていることがあります。
亜鉛は体にとって非常に重要なミネラルで、
不足すると皮膚・粘膜・免疫・成長などに大きな影響が出ます。
特に乳幼児では、
- 口のまわり
- 肛門まわり
- 手足
- 指先
などに特徴的な皮膚炎が出現することがあります。
今回は、画像のような「亜鉛欠乏症による皮膚炎」について、わかりやすく解説します。
※もと症例はこちら
■亜鉛とは?
亜鉛は、
- 皮膚を作る
- 傷を治す
- 免疫を保つ
- 味覚を維持する
- 成長を助ける
など、体のさまざまな働きに関わる重要な栄養素です。
しかし体内で十分に作れないため、食事から摂取する必要があります。
■亜鉛が不足するとどうなる?
亜鉛が不足すると、細胞の修復がうまくできなくなり、
- 皮膚炎
- 下痢
- 食欲低下
- 成長障害
- 脱毛
- 傷が治りにくい
などが起こります。
特に皮膚は影響を受けやすく、特徴的な湿疹が現れます。
■どんな皮膚症状が出るの?
亜鉛欠乏症では、
① 口のまわり
- 赤み
- びらん
- かさぶた
- ジクジク
が出やすくなります。
特に「口の周囲を囲むような湿疹」は重要な特徴です。
② おしり・陰部まわり
おむつ部位に強い炎症が起こり、
- ただれ
- 赤み
- びらん
が出ることがあります。
通常のおむつかぶれと区別が難しいこともあります。
③ 手足・指先
- 水疱
- 赤み
- 皮むけ
- ひび割れ
が起こることがあります。
■なぜ赤ちゃんに起こるのか?
乳児では、
- 母乳中の亜鉛不足
- 離乳食の偏り
- 吸収障害
- 先天的な亜鉛吸収異常
などが原因になります。
画像の症例でも、
- 母乳から
- ベジタリアン食へ変更
- 牛乳へ移行
という栄養変化のあとに症状が出現しています。

■「ただの湿疹」と何が違うの?
ここが非常に重要です。
亜鉛欠乏症は、単なる湿疹ではなく、“栄養不足による全身疾患” です。
そのため、
- 塗り薬だけでは改善しない
- 湿疹が繰り返す
- 栄養状態の評価が必要
という特徴があります。

■どうやって診断するのか?
主に、
- 血液検査(血清亜鉛)
- 症状の特徴
- 食事歴
- 改善反応
などを総合的に判断します。
ただし注意点として、ALP(アルカリフォスファターゼ)低値 がヒントになることがあります。
ALPは亜鉛を必要とする酵素だからです。
■治療は?
治療の基本は、
① 亜鉛補充
不足している亜鉛を補います。
② 食事改善
- バランスの良い食事
- 亜鉛を含む食品
- 必要時ミルク調整
などを行います。
③ 皮膚ケア
- 保湿
- 感染予防
- 必要時外用薬
を併用します。

■放置するとどうなる?
重症化すると、
- 慢性皮膚炎
- 感染
- 成長障害
- 栄養障害
につながることがあります。
特に乳幼児では、成長発達への影響も重要です。

■こんな症状は受診をおすすめします
- 口のまわりの湿疹が治らない
- おむつかぶれがひどい
- 手足に水疱が繰り返す
- 下痢を伴う
- 体重増加が悪い
- 栄養の偏りがある
このような場合は、小児科・皮膚科で相談が重要です。
■まとめ
亜鉛欠乏症は、単なる「肌荒れ」ではなく、体全体の栄養状態が関係する病気です。
特に乳幼児では、
- 口周囲
- おむつ部位
- 手足
に特徴的な皮膚炎が出ることがあります。
適切に診断して亜鉛を補充すると、比較的速やかに改善することも多いため、
「治らない湿疹」の背景を考えることが非常に重要です。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
※今回の元症例はこちらです。
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