- 2026年5月26日
頭が「化膿して髪が抜ける」…それ、“解離性蜂窩織炎”かもしれません。痛みを伴う頭皮のしこり・脱毛を起こす慢性炎症性疾患を柏・我孫子の総合内科専門医が解説
「頭皮が痛い」
「膿んでいるような感じがする」
「髪がまとまって抜けてきた」
このような症状が続く場合、単なる“できもの”や“毛嚢炎”ではなく、**解離性蜂窩織炎(かいりせい ほうかしきえん)**という特殊な炎症性疾患が隠れていることがあります。
これは頭皮に慢性的な炎症を起こし、
- 痛み
- 腫れ
- 膿のたまり
- 瘢痕(あと)を伴う脱毛
を引き起こす病気です。
放置すると、毛根が破壊されて永久的な脱毛につながることもあるため、早期診断・早期治療が重要です。
今回は、実際の症例をもとに「解離性蜂窩織炎」について、患者さん向けに分かりやすく解説します。
■今回の症例
47歳男性。
7か月前から、頭頂部に痛みを伴う発疹が出現しました。
抗菌薬で治療されていましたが改善せず、頭皮の痛みが続くため救急外来を受診しました。
診察では、
- 頭皮の強い圧痛
- まだら状の脱毛
- 結節(しこり)
- 化膿性変化
を認めました。
血液検査では大きな異常はなく、HIVや梅毒も陰性でした。
最終的に、頭皮の解離性蜂窩織炎と診断されました。
※今回の症例の写真はこちら
■解離性蜂窩織炎とは?
解離性蜂窩織炎は、頭皮の毛穴周囲に慢性的な炎症が起きる病気です。
別名で、
- dissecting cellulitis of the scalp
- perifolliculitis capitis abscedens et suffodiens
とも呼ばれます。毛穴の閉塞から炎症が始まり、皮膚の深い部分へ炎症が広がることで、
- 膿瘍(うみ)
- トンネル状病変
- 瘢痕性脱毛
を起こします。

■なぜ起こるの?
はっきりした原因は完全には分かっていませんが、
- 毛穴の閉塞
- 皮脂分泌異常
- 慢性炎症
- 細菌の二次感染
- 体質的要因
などが関係すると考えられています。
特に、毛包閉塞症候群と呼ばれる病態との関連が知られています。
■毛包閉塞症候群とは?
以下の病気を合併しやすいことで知られています。
- 化膿性汗腺炎
- 毛巣洞
- 重症ニキビ
つまり、「毛穴が詰まりやすく炎症を起こしやすい体質」が背景にあることがあります。

■どんな症状が出る?
代表的な症状は、
- 頭皮の痛み
- 腫れ
- しこり
- 膿
- 出血
- 悪臭
- まだらな脱毛
です。進行すると、皮膚の下に“トンネル状”に炎症が広がることがあります。
その結果、髪の毛が生えなくなることもあります。

■似た病気との違い
頭皮の炎症や脱毛を起こす病気には、
- 毛嚢炎
- 白癬(しらくも)
- 円形脱毛症
- 化膿性汗腺炎
- 細菌感染
などがあります。
しかし解離性蜂窩織炎では、
- 強い痛み
- 深い炎症
- 繰り返す腫れ
- 瘢痕性脱毛
が特徴になります。
■どんな検査をするの?
診断には、
- 視診
- 触診
- 細菌検査
- 血液検査
- 必要に応じて皮膚生検
などを行います。
他の感染症や自己免疫疾患を除外することも重要です。
■治療は?
治療には、
- 抗菌薬
- ステロイド外用
- 抗炎症治療
- 皮膚ケア
などが用いられます。
重症例では、
- 生物学的製剤
- 外科的治療
が必要になることもあります。
今回の症例では、
- グルココルチコイド軟膏
- ドキシサイクリン(抗菌薬)
による治療で改善しました。

■放置するとどうなる?
慢性化すると、
- 永久脱毛
- 瘢痕形成
- 慢性疼痛
- 繰り返す感染
につながることがあります。
そのため、“ただの頭皮トラブル”と軽く考えないことが大切です。

■この症例の重要なポイント
今回の症例は、
- 「頭皮が痛い」
- 「脱毛している」
- 「抗菌薬で治らない」
という情報から、単純な感染症ではないことを見抜く必要がありました。
まさに、
“総合内科専門医の鑑別力”が重要になる疾患
とも言えます。
また、皮膚科領域だけでなく、
- 慢性炎症
- 感染症
- 免疫異常
などを総合的に考える必要があり、総合診療的視点が非常に重要です。
■まとめ
解離性蜂窩織炎は、
- 頭皮の痛み
- 化膿
- しこり
- 脱毛
を起こす慢性炎症性疾患です。
放置すると永久脱毛につながることもあります。
「頭皮がずっと痛い」
「膿んでいる」
「髪が抜けてきた」
このような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。特に、
- 長引く頭皮炎症
- 抗菌薬で改善しない
- 痛みを伴う脱毛
は重要なサインです。
※今回の症例はこちらです。
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