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- 2026年8月9日
【柏市我孫子市】「シェーグレン症候群」の体の仕組みと医科歯科連携による全身ケア
単なる乾燥と見過ごしてはいけない全身疾患。唾液腺・涙腺の破壊が進むプロセスと、お口と眼の健康を守る最新アプローチ
日常生活の中で、「目がゴロゴロして乾く」「口が渇いて乾いた食べ物が飲み込みにくい」といった症状に悩まされていませんか。「年齢のせい」「季節の乾燥のせい」と放置されがちなこれらの乾燥症状ですが、その背景には、自分自身の免疫システムが誤って涙腺や唾液腺を攻撃し、組織を徐々に破壊してしまう「シェーグレン症候群」という全身性の自己免疫疾患が隠れていることがあります。
シェーグレン症候群は、主に50歳代に発症のピークがあり、男女比が1:14から1:17と、圧倒的に女性に多く見られる指定難病です。国内の受診患者数は約7万人ですが、潜在的には10万から30万人の患者様が存在すると推定されています。この病気は、他の膠原病を合併しない「一次性」と、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)などの他の膠原病を合併する「二次性」に大別されます。特に、関節リウマチ患者様の約20%に合併することが知られています。
1. 自分自身を攻撃してしまう「体の仕組み(病態生理)」
シェーグレン症候群の本質は、免疫システムが自分の体を外敵と誤認する自己免疫現象にあります。本来はウイルスや細菌から体を守るべき「自己反応性リンパ球」が涙腺や唾液腺などの外分泌腺に侵入し、慢性的な炎症を引き起こして腺組織を徐々に破壊していきます。これにより、分泌される涙や唾液の量・質が著しく低下し、乾燥障害が生じます。発症には、遺伝的要因やウイルスなどの環境要因、女性ホルモンの影響が複雑に関連し合っていると考えられていますが、詳細な原因はいまだ完全には解明されていません。
2. 腺症状(乾燥)と、全身に広がる腺外症状
症状は、外分泌腺の障害によって生じる「腺症状」と、それ以外の全身臓器に障害が及ぶ「腺外症状」に分かれます。
- 腺症状(乾燥症状): 涙液の減少によるドライアイ(眼の痛み、異物感、重症化に伴う角結膜の上皮障害・視力低下)や、唾液減少によるドライマウス(口腔乾燥感、ネバネバ感、味覚障害、咀嚼・嚥下困難、自浄作用低下に伴う虫歯や歯周病の多発)が代表的です。その他、鼻腔の乾燥や耳下腺の腫れ、膣の乾燥(性交不快感)なども現れます。
- 腺外症状(全身症状): 微熱や倦怠感、関節痛・関節炎、間質性肺炎(空咳や息切れ)、間質性腎炎、末梢神経障害(手足のしびれや麻痺)、環状紅斑や紫斑、レイノー現象(冷気に触れると指先が白〜紫色に変化する血管障害)など、全身の多臓器にわたる多様な障害を引き起こすことがあります。また、まれに悪性リンパ腫などの血液疾患を合併することもあります。
3. 専門的な診断プロセス
診断には、1999年に改訂された厚生労働省の診断基準が用いられます。以下の4項目のうち、2項目以上が陽性である場合に診断が確定します。
- ①生検病理組織検査:口唇(下唇)の内側を小さく切開して小唾液腺を採取し、顕微鏡でリンパ球の浸潤を確認します。当院では医科歯科連携を行っており歯科にて生検が施行できます。
- ②口腔検査:ガムを10分間噛んで分泌量を測るガムテスト(10mL以下で陽性)やサクソンテストのほか、唾液腺造影や唾液腺シンチグラフィーで機能を評価します。
- ③眼科検査:ろ紙を用いて涙の量を測定するシルマー試験(5mm/5min以下で陽性)や、角結膜の上皮障害(傷)を調べるローズベンガルテスト、フルオレセイン(蛍光色素)染色試験を行います。
- ④血清検査:血液検査により、自己抗体である「抗SS-A抗体」または「抗SS-B抗体」の有無を調べます。
4. 症状をコントロールする最新の治療戦略
現時点で病気そのものを根治させる治療法はありませんが、症状に合わせた対症療法や全身療法を組み合わせることで、生活の質(QOL)を良好に維持することができます。
- ドライアイ治療:ヒアルロン酸ナトリウムや、水分・ムチンの分泌を促して涙の質を改善するジクアホソルナトリウム、レバミピドの点眼薬を使用します。重症の場合は、涙の出口を物理的に塞ぐ「涙点プラグ挿入術」が非常に有効です。
- ドライマウス治療:唾液の分泌を強力に促す「セビメリン塩酸塩」や「ピロカルピン塩酸塩」の内服が用いられます。ただし、消化器症状や発汗などの副作用に注意しながら慎重に調整します。人工唾液(サリベート)や口腔用湿潤剤の併用、漢方薬(麦門冬湯など)も効果的です。また、乾燥を悪化させるお薬(抗ヒスタミン薬や抗うつ薬など)の服用を整理することも重要です。
- 全身臓器障害の治療:間質性肺炎や間質性腎炎、重度の末梢神経障害などを合併している場合は、病気の勢いを抑えるために副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬による強力な治療をリウマチ専門医の管理のもとで行います。
5. 妊娠を希望される方への重要なメッセージ
抗SS-A抗体陽性のお母様が妊娠された場合、この自己抗体が胎盤を通じて胎児に移行することで、新生児ループス(環状紅斑などの皮疹、生後半年頃にお母様からの抗体が消えるとともに自然消失)や、胎児の先天性房室ブロック(徐脈となる不整脈で、ペースメーカー留置を要する場合がある)をまれに引き起こすリスクがあります。 妊娠出産そのものによってお母様のシェーグレン症候群が急激に悪化することは一般的ではないため、専門医による管理のもと、産科や小児循環器科と事前に緊密な連携(予防的治療の検討など)を行うことで、安全な出産を目指すことができます。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、リウマチ科専門医・総合内科専門医の視点から、長引く目の渇きや口のパサつき、全身の関節痛がどのような「体の仕組み(自己免疫システムによる外分泌腺の慢性的な破壊)」から生じているのかを血液検査や生化学評価を通して緻密に紐解き、確実な診断と進行予防に努めております。当院の内科(リウマチ・生活習慣病診療)・発熱外来は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お仕事などで受診が難しい患者様でも、お休みの日に十分な時間をかけてご相談いただくことが可能です。
また、シェーグレン症候群の患者様にとって最大の難敵となるのが、唾液の減少による「自浄作用の低下」がもたらす『虫歯の多発』と『重症の歯周病』です。唾液にはお口を洗い流し、細菌の増殖を抑える大切な役割があるため、これが不足すると驚くべきスピードでお口の環境が荒れてしまいます。当院の歯科は土曜日午後2時(14時)まで診療を行っており、内科でのお薬の調整(唾液分泌促進薬のコントロールなど)と緊密に連携(医科歯科連携治療)しながら、同じカルテのもとでお口の徹底的な感染源除去(PMTCによるバイオフィルム破壊)や、粘膜を保護するための専門的なケアをシームレスに提供し、患者様の健康な食生活を守り抜きます。柏・我孫子エリアで原因不明の乾燥感や体調不良にお悩みの方は、お気軽にかかりつけ医である当院へご相談ください。
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公益財団法人 難病医学研究財団 難病情報センター. “シェーグレン症候群(指定難病53)
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