- 2026年8月31日
- 2026年9月1日
世界61万人の実データが明かす小児がん生存率:CONCORD-4の最新解析(Lancet2026)
30年間の追跡で高所得国80%超・日本85.9%達成。国際比較を可能にした年齢・性別・がん種標準化「CSI」の開発と、世界6割の子どもたちが直面する医療格差の克服
小児期(0〜14歳)に発症する悪性腫瘍(小児がん)は、白血病、中枢神経系腫瘍、悪性リンパ腫をはじめとする多様な病態を含み、成人がんと比較して進行が極めて速い一方、適切な標準化学療法や支持療法へのアクセスによって高い治癒率が期待できる疾患群です。2018年、世界保健機関(WHO)は「世界小児がんイニシアチブ(Global Initiative for Childhood Cancer: GICC)」を立ち上げ、2030年までに世界全体で全小児がんを合わせた5年生存率を60%以上に引き上げるという国際目標を宣言しました。しかし、国や地域によってがん種ごとの発生頻度や年齢構成、診断精度が大きく異なるため、これまでは国際間で公平かつ客観的に生存率の進捗を比較・評価できる統一指標が存在しませんでした。
世界最高峰の医学誌『The Lancet』に発表された国際共同研究プログラム「CONCORD-4」の最新解析は、世界68カ国・地域、307の住民ベースがん登録から収集された61万3,021人の小児がん罹患児の個票データを網羅的に分析し、世界初となる統一指標「がん生存率指数(Cancer Survival Index: CSI)」を確立して、30年間にわたる長期生存率の推移を明らかにしました。
1. 国際比較を可能にした「CSI(がん生存率指数)」の体の仕組みと統計手法
小児がんは男児に多い傾向があり、乳幼児期に好発する神経芽腫や網膜芽腫、学童期以降に増加する骨・軟部肉腫など、年齢・性別・組織型によって予後が著しく異なります。さらに、所得水準の異なる国々の人口構成比の違いが生存率データに偏り(バイアス)をもたらすことが課題でした。 研究チームは、国際小児がん分類第3版(ICCC-3)の12大分類、およびWHOが指定した6つの指標がん(急性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、網膜芽腫、ウィルムス腫瘍、低悪性度神経膠腫)について、世界規模の頻度分布に基づく標準化ウエイト(重み)を作成しました。 そして、一般人口における背景死亡率(乳幼児死亡率等の競合リスク)を補正するPohar Perme推定量を用い、純生存率(net survival)を重み付け平均した単一数値指標「CSI」を構築することで、時代や国境を超えた真の医療水準の定量比較を可能にしました。
2. 30年間の着実な進歩:高所得国での80%突破と日本の85.9%到達
1990年から2019年までの30年間の推移において、全小児がんを合わせた5年CSIは世界の多くの地域で一貫した改善を示しました。 2015〜2019年に診断された小児において、高所得国(HIC)の大部分でCSIは80%を超過し、ノルウェー(89.0%)、スイス(88.5%)、米国(87.1%)などが極めて高い生存率を達成しました。 アジアの高所得国においても顕著な向上が確認され、日本における全小児がんの5年CSIは、1990〜1994年の66.2%から、2000年代を経て2015〜2019年には85.9%(95%信頼区間 85.1〜86.6%)へと大幅に上昇しました。これは1970年代から続く小児・若年がん治療に対する公費助成制度や、小児がん拠点病院を中心とした集学的治療体制の成熟を反映したものと考察されています。また、WHO指標がん6種に限定した日本の5年CSIは90.2%に達しています。
3. 所得格差の現実と「GICC目標60%」の臨床的妥当性
一方で、国家の経済力とがん生存率には強い相関が認められました(1人あたり平均GDPとの相関係数 rho 0.70、p<0.0001)。 上位中所得国(UMIC)では多くの国がCSI 60〜80%の範囲に収まったのに対し、参加した下位中所得国(LMIC)5カ国(インドネシア、エルサルバドル、グアテマラ、モンゴル、ナイジェリア)のCSIは50〜60%にとどまりました。 CONCORD-4に参加した高所得国および上位中所得国の多くでは、2019年時点ですでにWHO GICCの掲げる「60%」という目標値を達成または上回っており、研究チームは「60%という国際目標は、高・中所得国にとっては過小(野心不足)である可能性がある」と指摘しています。 しかし、世界の子どもたちの約60%が暮らす低所得国(LIC)や下位中所得国においては、診断設備の不足による発見の遅れ(進行例での受診)、高額な自己負担や社会経済的理由による「治療放棄」、および必須抗がん剤の供給不足が根深い障壁となっています。
研究グループは、診断能力が限られる地域では白血病や脳腫瘍の正確な病型分類が困難な場合があるため、指標がん6種のみに絞った監視よりも、全小児がんを包含したCSIのモニタリングこそが実態を正確に反映すると結論づけています。世界的な小児生命予後の底上げには、実態を把握する住民ベースがん登録の拡充とともに、必須医薬品の安定供給と多職種によるきめ細かな支持療法の普及が極めて重要な鍵となります。
□クリニックからのメッセージ
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医・リウマチ膠原病専門医、および肝臓専門医が在籍し、日々勉学に努めることで正確な診断・治療を行えるよう努力を積み重ねています。患者様の訴えが、どのような「体の仕組み」で起きているのかを、身体診察、綿密な血液検査や超音波スクリーニング・必要に応じてCT等から論理的に解き明かし、正確な診断ならびに安全な治療管理プログラムをご提案します。当院の内科・発熱外来は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お忙しくて精密な健康管理や検査になかなか通えない患者様でも、週末にゆとりを持って専門医によるきめ細かなフォローアップを受けていただくことが可能です。
また、感染症を予防・管理する上で、お口の中の衛生管理(歯科管理)は、見過ごされがちですが極めて重要な「防衛ライン」です。小児期から成人期に至るあらゆる年代において、抗がん剤治療や免疫抑制療法、あるいは体力が低下している局面では、お口の中に重度の歯周病や粘膜炎(慢性炎症)が存在していると、食事の際の咀嚼(噛むこと)や毎日のハミガキといった些細な刺激によって、傷ついた血管から大量の口腔内細菌が容易に血液中に侵入します(一過性菌血症)。健康な状態であれば免疫によって排除されますが、抗がん剤治療に伴う骨髄抑制(白血球・好中球減少時)や糖尿病などの持病をお持ちの方、あるいは高齢の患者様などの構造的な弱点(基質)がある状態では、血液に乗って流れてきたお口の細菌が肝臓や心臓の弁、人工関節などに定着し、重症の化膿性感染症や敗血症を引き起こす直接の引き金(原因経路)となってしまいます。当院の歯科は土曜日午後2時(14時)まで診療を行っており、医科と歯科が同じ電子カルテのもとで緊密に連携する「医科歯科連携治療」の強みを活かし、内科での全身管理と連動しながら、プロによる徹底的なお口の清掃(PMTCによるバイオフィルム除去)を提供します。体全体の入り口であるお口の細菌をきれいにリセットすることで、内科治療の安全性を飛躍的に高め、生涯にわたるお体の健康をトータルで支え抜きます。柏・我孫子エリアで原因不明のだるさや食欲低下、お口の乾きやトラブルにお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。
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Claudia Allemani, Veronica Di Carlo, Naomi Ssenyonga, Fatima Khan Baloch, Claudia Kuehni, Fabio Girardi, Carolina Goić, Marisa K Sophiea, Mario Šekerija, Carla Espinoza-Vallejos, Katerina Dadouli, Hiromi Sugiyama, Jaume Galceran, Adela Cañete-Nieto, Rosalia Ragusa, Florencia Moreno, Charles Stiller, Michel P Coleman, and the CONCORD Working Group. “Progress towards the WHO Global Initiative for Childhood Cancer target of 60% 5-year survival for all childhood cancers combined, 1990–2019 (CONCORD-4): a Cancer Survival Index derived for 68 countries by analysis of individual records for 613 021 children from 307 population-based cancer registries.” The Lancet. 2026; 407(10534): 1335-1359.
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