- 2026年5月23日
若い人の「失神」に隠れる危険な病気
不整脈原性右室心筋症(ARVC)とは?
イプシロン波・陰性T波・家族歴から見抜く突然死リスク【柏・我孫子の総合内科専門医解説】
「突然気を失った」
「運動中に倒れた」
「健康診断で心電図異常を指摘された」
若い方の失神では、「疲れ」や「立ちくらみ」と考えられてしまうことも少なくありません。
しかし、その中には命に関わる危険な不整脈が隠れている場合があります。
その代表の一つが、
不整脈原性右室心筋症(ARVC:Arrhythmogenic Right Ventricular Cardiomyopathy)
です。
ARVCは、若年者の突然死の原因となることがある遺伝性心筋疾患であり、特に運動時の失神や突然死との関連が知られています。
今回は、
- ARVCとはどんな病気か
- 心電図で重要な「イプシロン波」とは何か
- なぜ失神が危険なのか
- 家族歴がなぜ重要なのか
- どのような検査・治療を行うのか
について、患者さんに向けて極力わかりやすく解説します。
■ARVCとは?
ARVCは、心臓の筋肉(特に右心室)が徐々に脂肪や線維組織に置き換わっていく病気です。
すると、心臓の電気の流れが乱れやすくなり、
- 心室頻拍(VT)
- 心室細動(VF)
などの危険な不整脈が起こることがあります。
これが突然死につながることもあるため、早期発見が非常に重要です。
■若年者の失神で注意が必要
若い人の失神は、
- 起立性低血圧
- 迷走神経反射
- 脱水
など良性のことも多いですが、
「運動中の失神」
「突然意識を失う」
「動悸を伴う」
「家族に若年突然死がある」
場合には、危険な不整脈疾患を疑う必要があります。
ARVCはその代表疾患の一つです。

■心電図で重要な「イプシロン波」とは?
ARVCで有名なのが、
イプシロン波(epsilon wave)
です。
これは、右心室の電気の流れが遅れることで現れる特殊な波形で、
V1〜V3誘導
で見られることがあります。
非常に小さな変化のため、見逃されることも少なくありません。
しかし、この微細な波形が「突然死リスク」の重要な手がかりになることがあります。

■陰性T波も重要な所見
ARVCでは、
V1〜V5
下壁誘導
などに広範な陰性T波が見られることがあります。
ただし、若年者では一部の陰性T波が正常範囲のこともあり、
「どこまで広がっているか」
「他の所見を伴うか」
を総合的に判断する必要があります。

■家族歴が極めて重要
ARVCは遺伝性疾患であることが多く、
- 親族の若年突然死
- 原因不明の事故死
- 若くして心疾患で亡くなった家族
などが重要なヒントになります。
患者さん自身が知らないことも多く、
「昔、親族が急に亡くなった」
という情報が診断につながることもあります。

■心電図だけでは診断できない
ARVCは、心電図だけで確定診断できる病気ではありません。
診断には、
- 心エコー
- 心臓MRI
- ホルター心電図
- 運動負荷試験
- 遺伝子検査
などを組み合わせて評価します。
特に、
右室流出路の拡張
右室壁運動異常
などは重要な所見です。

■治療は「突然死予防」が中心
ARVCでは、
致死性不整脈を防ぐこと
が最も重要です。
治療としては、
- 激しい運動制限
- 抗不整脈薬
- ICD(植込み型除細動器)
などが行われます。
特にICDは、危険な不整脈が起きた際に電気ショックで命を守る装置です。

■「若いから大丈夫」ではない
ARVCは、
- 若年者
- スポーツをしている人
- 一見健康そうな人
にも起こります。
だからこそ、
「若いから問題ない」
とは言い切れません。
失神や心電図異常を軽視せず、必要な評価を受けることが重要です。
■柏・我孫子で失神・心電図異常をご相談の方へ
当院では、
- 原因不明の失神
- 動悸
- 健診異常
- 若年者の心電図異常
- 不整脈精査
について、総合内科専門医の立場から診療を行っております。
必要に応じて、
- 専門病院での精査
- 不整脈専門医への紹介
- 心エコー・精密検査
へ迅速につなげております。
「若いから大丈夫」と思わず、
- 運動中の失神
- 家族歴
- 繰り返す動悸
- 心電図異常
がある場合は、お早めにご相談ください。
今回の内容を医学的に詳しく知りたい方は下記へどうぞ
同様に若年者に突然死を引き起こす不整脈疾患「ブルガダ症候群」についての解説は下記へどうぞ
高齢者が転倒する不整脈についてはこちらへどうぞ
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