- 2026年5月24日
顎骨壊死とは?抜歯後に「あごの骨が治らない」ことがある病気を解説【柏・我孫子・取手のリウマチ総合内科専門医】
「歯を抜いたあと、なかなか傷が治らない」
「顎(あご)が腫れて痛い」
「骨が見えていると言われた」
このような症状がある場合、**薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)**という病気が隠れていることがあります。
今回ご紹介するのは、骨粗鬆症治療薬『デノスマブ(プラリア®)』使用中に顎骨壊死を起こした症例です。
顎骨壊死は頻度としては多くありませんが、
- 骨粗鬆症治療中
- がん治療中
- 抜歯予定がある
- 歯周病がある
方では知っておくべき重要な合併症です。
今回は、
- 顎骨壊死とは何か
- なぜ起こるのか
- どんな症状に注意するのか
- 予防方法
- 治療法
を患者さん向けにわかりやすく解説します。
■顎骨壊死(MRONJ)とは?
MRONJは、
「薬の影響で顎の骨の治りが悪くなり、骨が壊死してしまう状態」
です。特に、
- 抜歯
- 歯周病
- 入れ歯による傷
- 口腔内感染
をきっかけに起こることがあります。

■デノスマブ(プラリア®)とは?
デノスマブは、
骨粗鬆症の骨折予防に非常に重要な薬です。
骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑え、
- 骨密度改善
- 骨折予防
に効果があります。
高齢化社会では非常に重要な薬ですが、一方でまれに顎骨壊死を起こすことがあります。
■なぜ顎に起こるの?
顎の骨は、
- 毎日細菌にさらされる
- 歯による刺激が多い
- 骨代謝が活発
という特徴があります。
そこへ、
- 抜歯
- 歯周病
- 感染
が加わると、骨の修復が追いつかなくなることがあります。

■どんな症状が出るの?
代表的な症状は、
- 顎の腫れ
- 痛み
- 膿が出る
- 骨が見える
- 歯ぐきが治らない
- 口臭
- 歯のぐらつき
などです。
重症化すると、
- 顔の変形
- 顎骨骨折
- 強い感染
につながることもあります。
■この症例ではどうだったのか?
今回の症例では、
- デノスマブ使用中
- 抜歯後
- 顎の腫れ悪化
- 骨露出
- X線で骨破壊
が認められました。
最終的に、
「デノスマブ関連顎骨壊死」
と診断されています。

■どうやって診断するの?
診断には、
- 口の診察
- レントゲン
- CT
- 歯科評価
などを行います。
特に重要なのは、
「骨粗鬆症薬を使っているか」
という情報です。
■治療は?
状態によって異なりますが、
- 抗菌薬
- 口腔内洗浄
- 歯科口腔外科治療
- 壊死骨除去
- 原因薬の調整
などが行われます。
重症例では手術が必要になることもあります。

■一番大切なのは「予防」
実はMRONJは、
「予防」が非常に重要
です。特に、
- デノスマブ開始前
- ビスホスホネート開始前
には歯科受診が推奨されます。
■予防のポイント
① 歯周病を放置しない
歯周病は大きなリスクです。
② 定期歯科受診
口腔内を良好に保つことが重要です。
③ 抜歯前に主治医へ相談
薬剤調整が必要になる場合があります。

■「薬が怖い」ではなく「正しく使う」が大切
ここで重要なのは、
「デノスマブが危険な薬」ということではありません。
デノスマブは、
- 骨折予防
- 寝たきり予防
- 生活の質維持
に非常に重要な薬です。
実際、骨折のリスクの方がはるかに大きい患者さんも多くいます。
そのため、
- 医科
- 歯科
- 患者さん
が連携して適切に管理することが大切です。
■まとめ
顎骨壊死(MRONJ)は、
- 骨粗鬆症薬
- がん治療薬
などで起こることがある重要な合併症です。
特に、
- 抜歯後に治らない
- 骨が見える
- 腫れが続く
場合は注意が必要です。
しかし、
- 適切な口腔ケア
- 定期歯科受診
- 医科歯科連携
によって予防できるケースも多くあります。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
※顎骨壊死の症例はこちら
※過去症例一覧はこちらになります。
https://kashiwa-gomi-shikanaika.com/blog/category/medical_science/%e7%97%87%e4%be%8b
顎骨壊死の治療では抗菌薬を継続することがありますが、お薬の影響で舌の色が変わる『毛舌』という症状が出ることがあります。これも医科と歯科の密接な関係を示すサインの一つです。
関節リウマチの治療でステロイドを使用されている方は、骨を守る薬を併用することが多いため、抜歯前には必ずリウマチ主治医と歯科医師の連携が必要になります。
当院では、通常のレントゲンでは判別しにくい骨の微細な破壊を、精密なCT検査によって早期に捉え、迅速な診断を行っています。
柏五味歯科内科リウマチクリニック
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