- 2026年5月25日
結晶性汗疹とは?:重症疾患で入院後に突然できる「白いブツブツ」―実は自然に治ることが多い皮膚症状です
「急に小さな白いブツブツがたくさん出てきた」
「汗疹(あせも)みたいだけど痛くない」
「感染症ではないの?」
入院中や高熱のあとに、このような皮膚変化が現れることがあります。
今回の症例は、ICU入室中の55歳男性に突然出現した“結晶性汗疹(crystalline miliaria)”と呼ばれる皮膚症状です。
見た目は驚くことがありますが、多くは自然に改善する良性の病態です。
今回は、結晶性汗疹とは何か、なぜ起こるのか、注意点はあるのかを、わかりやすく解説します。
■結晶性汗疹とは?
結晶性汗疹は、
「汗の出口が一時的に詰まり、皮膚表面に小さな透明〜白色の水疱ができる状態」
です。
一般的な「あせも」の一種ですが、もっとも浅い部分で起こるタイプです。
特徴は、
- 小さな透明〜白色のブツブツ
- 水滴のように見える
- 赤みが少ない
- 痛み・かゆみがほとんどない
- 数日で自然に治ることが多い
という点です。

■今回の症例
今回の患者さんは、
- ICU入室中
- 小腸閉塞の手術後
- 敗血症性ショック
- 呼吸不全
- 発熱
という重症状態でした。その後、
鼠径部(足の付け根)を中心に、小さな白い水疱が多数出現
しました。しかし、
- 赤みが少ない
- 痛みなし
- かゆみなし
- 押すと簡単に破れる
- 周囲炎症なし
という特徴がありました。
24時間後には自然に改善し始めています。
これは結晶性汗疹に非常に典型的な経過です。
■なぜ起こるの?
結晶性汗疹は、
「大量の発汗」
が大きく関係しています。特に、
- 高熱
- ICU管理
- 高温環境
- 発汗増加
- 長時間臥床
- 通気性低下
などで起こりやすくなります。
汗が急激に増えると、汗の通り道が一時的に詰まり、皮膚表面に汗がたまって小さな水疱になります。

■感染症との違いは?
患者さんが最も不安になるのが、
「感染ではないのか?」
という点です。
しかし結晶性汗疹は、
基本的には感染症ではありません。
細菌やウイルスが原因ではなく、「汗の詰まり」による変化です。そのため、
- 強い痛み
- 強い赤み
- 膿
- 発熱悪化
- 皮膚の壊死
などは通常みられません。

■治療は必要か?
多くの場合、
特別な治療は不要です。
原因となる発汗環境が改善すると、自然に軽快します。重要なのは、
- 皮膚を清潔に保つ
- 蒸れを減らす
- 過度な刺激を避ける
ことです。無理に潰したり、強くこすったりしないことも大切です。
■注意が必要なケース
ただし、
- 強い赤み
- 痛み
- 膿
- 発熱悪化
- 広範囲の皮膚障害
がある場合は、
- 細菌感染
- 真菌感染
- 薬疹
- 水疱性疾患
など別の病気の可能性があります。
特にICU患者さんでは、感染症との区別が重要です。
■まとめ
結晶性汗疹は、
「大量発汗により汗の出口が詰まり、小さな透明水疱ができる良性の皮膚症状」
です。特に、
- 高熱
- ICU管理
- 長期臥床
- 発汗増加
などで起こりやすくなります。
見た目に驚くことがありますが、多くは自然に改善します。一方で、
- 強い炎症
- 痛み
- 発熱悪化
を伴う場合は別の病気の可能性もあり、注意が必要です。
普段目にかかることは極めてまれな病態ですが、人間の体にはこのような仕組みもあることを共有しておきます。
※今回の症例はこちら
※結晶性汗疹は重症疾患(敗血症や手術後)に伴う皮膚症状です。同様に、内科的な病気が皮膚に現れる他の症例を紹介しておきます。
※実際に注意が必要な「本物の感染症」の記事はこちらへどうぞ
※皮膚が治らないことでお困りの患者様は「症状別悩み相談コーナー:皮膚が治らない」を参考にしてみてください。自分に近い症状があるかもしれません。
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