- 2026年10月20日
頭痛の原因・種類・治療を総合内科専門医が解説|片頭痛・緊張型頭痛から危険な頭痛まで
頭痛は、日常生活で経験することの多い症状ですが、その原因は一つではありません。
頭の片側がズキズキと痛む「片頭痛」、頭全体が締め付けられる「緊張型頭痛」、目の奥に激しい痛みが生じる「群発頭痛」など、頭痛にはさまざまな種類があります。
さらに、なかにはくも膜下出血、髄膜炎、脳血管障害など、早急な診断と治療が必要な病気が隠れていることもあります。
この記事では、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)と国内外の診療ガイドラインに基づき、頭痛の種類、見分け方、検査、治療、予防について解説します。
それぞれの頭痛については、当院が作成した9本の専門記事へのリンクを設け、患者さんから医療従事者まで、必要な内容を詳しく確認できる構成としています。
1.頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられる
頭痛を正しく理解するためには、まず一次性頭痛と二次性頭痛の違いを知ることが重要です。
一次性頭痛:頭痛そのものが病気
一次性頭痛とは、頭痛を説明する別の原因疾患が認められず、頭痛自体が疾患として成立しているものです。
代表的なものに、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。
これらは生命に直結することは通常ありませんが、症状が強い場合には、仕事、家事、学業、睡眠などに大きな支障をきたします。
また、複数の一次性頭痛が同じ患者さんに併存する場合もあります。
二次性頭痛:別の病気によって引き起こされる頭痛
二次性頭痛は、頭痛の原因となる別の疾患や病態が存在するものです。
例えば、くも膜下出血、脳動脈解離、脳静脈洞血栓症、髄膜炎、頭蓋内圧の異常などが挙げられます。
発熱や感染症、薬剤の使用過多、眼科疾患などによって起こる場合もあります。
頭痛診療では、痛みを和らげる前に、危険な二次性頭痛を見逃さないことが大切です。

図:国際頭痛分類第3版(ICHD-3)に基づく頭痛の体系的分類 頭痛は、頭痛そのものが疾患として成立する一次性頭痛と、他の疾患・病態に起因する二次性頭痛に大別される。一次性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)、その他の一次性頭痛が含まれる。二次性頭痛には、頭頸部血管障害、感染症、頭蓋内圧異常、薬剤・物質関連、眼科・耳鼻咽喉科・歯科疾患、全身性・炎症性疾患など、さまざまな原因が存在する。臨床診療では、まず危険な二次性頭痛を鑑別し、病歴、神経学的所見、必要に応じた画像検査などを組み合わせて評価することが重要である。本図はICHD-3の主要な分類を臨床的観点から簡略化して示したものであり、すべての下位分類を網羅するものではない。
2.このような頭痛は危険|受診を急ぐべきサイン
頭痛が生じた際、最初に確認したいのが「レッドフラッグ(危険徴候)」です。
特に次のような症状がある場合には、重篤な二次性頭痛の可能性を考える必要があります。
- 突然始まり、数秒から1分以内に最大の強さに達する頭痛
- 今まで経験したことがないほど激しい頭痛
- 頭痛とともに、手足の麻痺、言葉の出にくさ、意識障害が現れる
- 発熱、首の硬さ、意識の変化を伴う
- 視力が急に低下する、眼が赤く激しく痛む
- 妊娠中や産後に新たに出現した強い頭痛
- がんや免疫抑制状態を背景に新しく始まった頭痛
- 50歳以降に初めて出現した、これまでとは異なる頭痛
- 咳、いきみ、運動、性行為などをきっかけに突然出現する頭痛
- 頭痛の頻度や強さが次第に増している
特に突然発症した激烈な頭痛、意識障害、麻痺などを伴う場合は、通常の外来予約を待たず救急受診が必要です。
また、50歳以上で新しい頭痛が出現し、顎のだるさや咀嚼時の痛み、頭皮の圧痛、視覚症状を伴う場合には、巨細胞性動脈炎も重要な鑑別疾患です。視力障害を防ぐため、迅速な評価が求められます。
危険な頭痛の判断には、症状だけでなく、発症様式、神経学的所見、既往歴、必要に応じた画像検査などを組み合わせます。
関連記事:危険な二次性頭痛とレッドフラッグ
見逃してはいけない危険な頭痛|二次性頭痛の原因と15の危険徴候
くも膜下出血、感染症、血管障害などを背景とする頭痛の特徴と、国際的なレッドフラッグの考え方を詳しく解説しています。
3.頭痛の種類を症状から見分ける
頭痛の性質、持続時間、随伴症状は、原因を推定する手がかりになります。
| 頭痛の種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 片頭痛 | 中等度から重度の痛み。吐き気、光や音への過敏を伴うことが多い |
| 緊張型頭痛 | 両側性で締め付けられるような痛み。一般に軽度から中等度 |
| 群発頭痛 | 片側の眼の周囲に極めて強い痛み。流涙や鼻汁、落ち着きのなさを伴う |
| その他の一次性頭痛 | 数秒間の刺すような痛み、咳や運動に伴う頭痛、睡眠中の頭痛など |
| 二次性頭痛 | 原因によって多様。発症様式や危険徴候が重要 |
ただし、痛み方だけで頭痛を確定診断することはできません。
片頭痛でも両側が痛むことがあり、緊張型頭痛と片頭痛が併存することもあります。
また、一般的な一次性頭痛に似た症状で、重大な二次性頭痛が発症する場合もあります。

図2:片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛における典型的臨床所見の比較 代表的な一次性頭痛である片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛について、発作持続時間、疼痛部位、疼痛の性質、随伴症状、身体活動との関連、発作中の行動特性を比較した。成人の典型的な片頭痛発作は4〜72時間持続し、中等度から重度の頭痛に悪心・嘔吐、光過敏、音過敏などを伴う。緊張型頭痛は、通常、両側性で圧迫性・締め付け性の痛みを示し、日常的な身体活動で増悪しにくい。群発頭痛は、15〜180分間持続する極めて強い片側性の眼窩部・側頭部痛を特徴とし、同側の流涙、結膜充血、鼻症状などの自律神経症状や、発作時の落ち着きのなさを伴う。これらは典型的な臨床像を示したものであり、個々の症例では非典型的な所見や複数の頭痛疾患の併存が認められる。確定診断にはICHD-3の診断基準を用い、必要に応じて二次性頭痛を除外する。
4.片頭痛|ズキズキする頭痛と吐き気・光過敏
片頭痛(Migraine)は、繰り返す頭痛発作に加え、吐き気、光過敏、音過敏などを伴う神経疾患です。
典型的には4〜72時間続く発作性の頭痛がみられ、日常的な動作で痛みが強くなることがあります。
片側性で拍動性の頭痛が知られていますが、すべての患者さんがこの特徴を示すわけではありません。
片頭痛が起こる仕組み
片頭痛の病態には、三叉神経血管系の活性化と、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などの神経ペプチドが深く関与しています。
CGRPは痛みの情報伝達や神経血管系の調節に関係し、近年の片頭痛治療薬開発における重要な標的となっています。
また、視界にギザギザした光が現れる閃輝暗点などの前兆には、皮質拡延性脱分極(Cortical Spreading Depression:CSD)が関与すると考えられています。
片頭痛は単なる血管拡張による病気ではなく、脳内の神経ネットワーク、感覚情報処理、疼痛伝達などが複雑に関係する疾患です。

図3:片頭痛の神経生物学的病態とCGRPを標的とした治療戦略 片頭痛の発症および疼痛形成に関与する神経生物学的機序を模式的に示す。三叉神経血管系の活性化に伴い、一次求心性神経終末からカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)などの神経ペプチドが放出される。CGRPは硬膜血管の拡張や三叉神経系における侵害受容性情報伝達に関与し、片頭痛の重要な分子標的となっている。疼痛情報は三叉神経頸髄複合体から視床、大脳皮質などへ伝達され、発作の持続や反復には末梢・中枢性感作が関係する。前兆を伴う片頭痛では、皮質拡延性脱分極(cortical spreading depolarization:CSD)が前兆の神経生理学的基盤として重要と考えられている。一方、CSDと頭痛発生の直接的な因果経路や、神経原性炎症のヒト片頭痛における寄与については、なお不確実性が残る。治療には、NSAIDs、トリプタン、ジタンなどの急性期治療薬と、従来の予防薬、CGRPまたはその受容体を標的とする抗体薬などが用いられる。ゲパントはCGRP受容体拮抗薬であり、急性期治療・予防療法における位置づけは薬剤および各国の承認状況によって異なる。本図は複数の病態経路と治療標的を概念的に統合したものであり、単一の直線的な因果経路を実証したものではない。
片頭痛の誘発因子
睡眠不足や睡眠過多、月経周期、ストレス、生活リズムの変化、欠食などは、片頭痛発作と関連することがあります。
ただし、誘発因子には個人差があり、発作前の予兆症状が誘因と誤認されることもあります。
過度な生活制限を行うのではなく、頭痛日誌などを利用して個々の傾向を把握することが重要です。
関連記事:片頭痛の病態・診断・慢性化
片頭痛の正体とは?診断基準・CGRP・誘発因子と慢性化の仕組み
片頭痛の神経生物学的機序、国際頭痛分類に基づく診断、慢性化の危険因子について詳しく解説しています。
5.片頭痛の治療|発作を抑える急性期治療
片頭痛の治療は、大きく「急性期治療」と「予防療法」に分けられます。
急性期治療の目的は、すでに始まった頭痛発作を速やかに和らげ、日常生活への影響を減らすことです。
急性期治療で使用される薬剤
代表的な治療薬には次のようなものがあります。
- アセトアミノフェン
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- トリプタン系薬剤
- ジタン系薬剤など、片頭痛に特異的な作用を持つ薬剤
- 悪心・嘔吐に対する制吐薬
薬剤の選択では、発作の重症度、過去の治療反応、併存疾患、心血管系リスク、妊娠の可能性などを考慮します。
特にトリプタンは、片頭痛発作の頭痛が始まった早い段階で使用すると効果が得られやすいとされています。ただし、前兆だけが出現している時点での服用が一律に推奨されるわけではありません。
また、重篤な血管疾患の既往などがある患者さんでは、トリプタンの使用が適切でない場合があります。
痛みを我慢し続けないことも重要
片頭痛発作では、痛みを長時間我慢することで中枢性感作が進み、治療が難しくなる場合があります。
発作の特徴に合った薬を適切な時期に使用し、効果が不十分であれば治療方針を見直すことが大切です。
関連記事:片頭痛の急性期治療
鎮痛薬、トリプタン、制吐薬などの使い分けと、発作の重症度に応じた治療戦略について解説しています。
6.片頭痛の予防療法|発作の回数と生活への影響を減らす
片頭痛の発作が頻繁に起こる場合や、急性期治療だけでは十分に日常生活を維持できない場合には、予防療法を検討します。
予防療法は単に痛みを抑える治療ではなく、発作の頻度、強さ、持続時間、日常生活への支障を減らすことを目的とします。
従来の予防薬
片頭痛予防に用いられる薬剤には、β遮断薬、抗てんかん発作薬、一部の抗うつ薬などがあります。
どの薬剤が適切かは、合併症、副作用、妊娠・授乳などの状況によって異なります。
CGRP関連薬による新しい片頭痛予防
近年、CGRPまたはその受容体を標的とする治療薬が導入され、片頭痛予防の選択肢が広がりました。
CGRP関連抗体薬は、片頭痛の病態に関与する分子を直接標的とする治療薬です。
2024年の米国頭痛学会(American Headache Society)のポジションステートメントでは、CGRP標的治療薬を従来の予防薬と並ぶ第一選択の選択肢として位置づけています。
一方、日本国内では薬剤ごとの承認内容、保険適用、使用指針を確認する必要があり、海外の推奨をそのまま適用できるとは限りません。
関連記事:片頭痛の予防療法とCGRP関連薬
従来の予防薬からCGRP関連抗体薬まで、片頭痛予防の仕組みと治療選択について詳しく解説しています。
7.痛み止めの使いすぎに注意|薬剤の使用過多による頭痛
頭痛が頻繁に起こると、鎮痛薬を使用する日数も増えやすくなります。
ところが、急性期治療薬を長期間にわたり頻繁に使用すると、頭痛が慢性化する場合があります。
これを「薬剤の使用過多による頭痛(Medication-Overuse Headache:MOH)」と呼びます。
MOHの診断基準
国際頭痛分類第3版では、もともと一次性頭痛がある患者さんにおいて、月15日以上の頭痛が認められ、急性期治療薬の使用過多が3か月を超えて続くことなどが診断の要件となります。
使用過多の基準は薬剤によって異なります。
- トリプタンなど:原則として月10日以上
- アセトアミノフェンや単一成分NSAIDsなど:原則として月15日以上
これらは診断上の閾値であり、その日数までなら使用しても必ず安全という意味ではありません。
治療の基本
MOHの治療では、原因となる急性期治療薬の使用状況を確認し、必要に応じて薬剤の中止または使用日数の削減を行います。
同時に、背景にある片頭痛や緊張型頭痛への適切な予防療法を検討します。
なお、オピオイドやバルビツール酸系薬剤などでは急な中止に注意が必要な場合があり、患者さんごとの管理が重要です。
関連記事:薬剤の使用過多による頭痛(MOH)
薬剤の過剰使用による慢性化の仕組み、診断基準、治療薬の調整、予防療法への移行について解説しています。
8.緊張型頭痛|頭が締め付けられるような痛み
緊張型頭痛(Tension-Type Headache)は、最も一般的な一次性頭痛の一つです。
頭の両側が圧迫される、あるいは締め付けられるように痛むことが特徴です。
一般に痛みは軽度から中等度で、歩行や階段の昇降などの日常的な動作によって悪化しにくい傾向があります。
片頭痛と異なり、通常は嘔吐を伴いません。
緊張型頭痛の病態
反復性の緊張型頭痛では、頭頸部の筋・筋膜などに由来する末梢性疼痛機序が関与すると考えられています。
一方、慢性緊張型頭痛では、中枢神経系における痛みの処理異常や中枢性感作の関与が重要とされています。
したがって、すべての緊張型頭痛が単なる肩こりや筋肉の緊張だけで説明できるわけではありません。
緊張型頭痛の治療
治療では、必要時の鎮痛薬に加え、睡眠や生活習慣の見直し、適切な運動、ストレスへの対処などを検討します。
慢性化している場合には、薬物療法と非薬物療法を組み合わせることが重要です。
関連記事:緊張型頭痛の診断・病態・治療
末梢性疼痛機序と中枢性感作の違い、慢性化の仕組み、薬物療法・非薬物療法について解説しています。
9.群発頭痛|目の奥に生じる激烈な痛み
群発頭痛(Cluster Headache)は、片側の眼の周囲やこめかみに、非常に強い痛みが反復して生じる一次性頭痛です。
典型的な発作は15〜180分間持続し、一定の期間に集中して繰り返されることがあります。
発作時には、痛みと同じ側に涙、結膜充血、鼻汁、鼻閉、眼瞼下垂などが現れる場合があります。
また、片頭痛では静かに横になりたくなる患者さんが多いのに対し、群発頭痛では痛みのために落ち着かず、動き回ることがあります。
群発頭痛の病態と治療
群発頭痛の発症には、三叉神経・自律神経系や視床下部の機能が関係すると考えられています。
急性期には高流量酸素吸入やスマトリプタン皮下注射など、通常の鎮痛薬とは異なる治療が重要になります。
発作が集中する期間には、予防療法も検討されます。
群発頭痛が疑われる場合には、脳神経内科などで適切な診断と治療を受けることが重要です。
関連記事:群発頭痛と三叉神経・自律神経性頭痛
群発頭痛とその他の三叉神経・自律神経性頭痛の分類、発症機序、診断、専門的治療について解説しています。
10.その他の一次性頭痛|アイスピック頭痛・睡眠時頭痛など
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛のいずれにも当てはまらない特徴的な頭痛も存在します。
例えば、次のような頭痛です。
- 一瞬、針で刺されたような痛みが生じる一次性穿刺様頭痛
- 咳やいきみに伴って出現する一次性咳嗽性頭痛
- 運動に伴って生じる一次性運動時頭痛
- 性行為に関連して出現する一次性頭痛
- 睡眠中に出現し、目が覚める睡眠時頭痛
- 新しく出現した頭痛が毎日持続する新規発症持続性連日性頭痛
これらの頭痛では、症状の特徴を把握するだけでなく、二次性頭痛を適切に除外することが重要です。
特に咳、運動、性行為などに伴う初発の突然の頭痛は、脳血管障害などの可能性を考え、慎重に評価する必要があります。
関連記事:その他の一次性頭痛
アイスピック頭痛から睡眠時頭痛まで|その他の一次性頭痛の分類
頻度は比較的低いものの、特徴的な発症様式を示す一次性頭痛について、分類と病態を詳しく解説しています。
11.子ども・思春期の頭痛|成人との違い
頭痛は成人だけでなく、小児や思春期にもみられます。
小児の片頭痛では、成人と比べて頭痛の持続時間が短い場合があり、両側性の痛みを訴えることも少なくありません。
また、吐き気や腹痛などの随伴症状が目立つ場合もあります。
睡眠、学校生活、心理社会的なストレスなども頭痛の評価において重要です。
小児頭痛で注意すべき症状
頭痛が次第に悪化している、神経症状を伴う、意識状態が変化する、強い発熱や項部硬直がみられるなどの場合には、原因疾患の評価が必要です。
頭痛を単に心理的な問題と決めつけず、年齢や発達段階に応じた診察を行うことが大切です。
関連記事:小児・思春期の頭痛
小児期の片頭痛、緊張型頭痛、学校生活との関係、危険徴候、年齢に応じた治療について解説しています。
12.頭痛の診察では何を調べるのか
頭痛の診断では、痛みの強さだけではなく、発症様式や経過を総合的に確認します。
特に重要なのは、以下の項目です。
- いつから頭痛が始まったか
- 突然始まったか、徐々に始まったか
- 頭痛は何分、何時間、何日続くか
- 月に何日程度頭痛があるか
- 痛む場所と痛み方
- 吐き気、光過敏、音過敏、視覚症状の有無
- 発熱、神経症状、眼の症状の有無
- 鎮痛薬を使用している日数
- 既往歴、内服薬、生活習慣
診察では必要に応じて、血圧、意識状態、脳神経、運動・感覚機能、髄膜刺激徴候などを確認します。
二次性頭痛が疑われる場合には、頭部CT・MRI、血管画像検査、血液検査、髄液検査などを検討します。
一方、病歴と診察所見から典型的な一次性頭痛と判断され、危険徴候が認められない場合には、すべての患者さんに画像検査が必要とは限りません。

Figure 4.危険徴候の評価から一次性頭痛の分類・治療選択に至る臨床判断フローチャート 頭痛を主訴とする患者に対する一般的な初期診療の流れを示す。最初に突然発症する激烈な頭痛、局所神経脱落症状、意識障害、発熱・項部硬直、50歳以降の新規頭痛、妊娠・産後の頭痛、進行性の症状悪化など、二次性頭痛を疑う危険徴候(Red flags)を評価する。危険徴候が認められる場合には、病態と緊急度に応じて救急評価、頭部CT・MRI、血管画像検査、血液検査、必要時の髄液検査などを検討し、原因疾患に対する治療につなげる。すべての危険徴候が同程度の緊急性を示すわけではなく、検査の選択や実施順序は臨床状況によって異なる。危険徴候を認めず、病歴および神経学的診察から一次性頭痛が疑われる場合には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛・その他の三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)などに分類し、疾患に応じた急性期治療および予防療法を検討する。継続診療では、急性期治療薬の使用日数、頭痛日誌、治療反応、生活への影響、頭痛の慢性化を評価し、必要に応じて診断・治療方針を再検討する。本図は一般的な臨床判断を示した概略図であり、危険徴候の欠如のみで二次性頭痛を完全に除外できるものではない。
13.頭痛の慢性化を防ぐには|頭痛日誌の活用
繰り返す頭痛では、症状を記録することが診断と治療に役立ちます。
頭痛日誌には、頭痛の発生した日、持続時間、痛みの強さ、随伴症状、使用した薬、生活への影響などを記録します。
特に重要なのは「頭痛がある日数」と「急性期治療薬を使用した日数」を分けて把握することです。
頭痛が月15日以上、3か月を超えて続き、そのうち月8日以上に片頭痛の特徴が認められる場合には、慢性片頭痛の診断基準に該当する可能性があります。ただし、診断には既往の発作歴など、ほかの条件も必要です。
頭痛が頻繁になっている場合、急性期治療薬を増やし続けるのではなく、診断の再評価と予防療法の検討が重要です。
14.頭痛では何科を受診すればよい?
頭痛の診療では、症状に応じて総合内科、脳神経内科、脳神経外科、頭痛専門外来などが受診先になります。
危険な二次性頭痛が疑われる場合には、救急医療機関での迅速な評価が必要です。
一方、繰り返す頭痛や慢性的な頭痛では、まず診察を受け、必要な検査や専門医療機関への紹介について相談することができます。
また、頭部や顔面の痛みのなかには、歯科疾患、顎関節症、咀嚼筋の異常、非歯原性歯痛などとの鑑別が必要なものもあります。
特に、こめかみ、耳の周囲、顎、歯に関連する痛みでは、医科と歯科の双方から評価することが役立つ場合があります。
15.まとめ|頭痛は原因を見極め、適切な治療につなげることが大切
頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの一次性頭痛と、さまざまな原因疾患による二次性頭痛があります。
診断では、痛み方だけでなく、発症の速さ、持続時間、随伴症状、頭痛の頻度、神経学的所見などを総合的に評価することが重要です。
繰り返す片頭痛では、急性期治療薬を適切に使用するとともに、発作の頻度や生活への支障に応じて予防療法を検討します。
また、鎮痛薬の使用日数が増加している場合には、薬剤の使用過多による頭痛にも注意が必要です。
頭痛は適切な診断と治療によって、生活への影響を軽減できる可能性があります。
当院では、頭痛の種類ごとに病態、診断、治療を解説した専門記事を公開しています。気になる症状や疾患について、各関連記事もあわせてご参照ください。
柏市・我孫子市で頭痛にお悩みの方へ
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科の立場から、繰り返す頭痛や慢性的な頭痛について、症状、薬剤の使用状況、併存疾患などを総合的に評価しています。
必要に応じて専門医療機関への紹介を検討し、顔面や顎、歯の痛みが関係する場合には医科歯科連携による診療も行います。
※突然の激烈な頭痛や麻痺、意識障害などを伴う場合には、通常の外来予約ではなく、救急医療機関を受診してください。
参考文献・診療ガイドライン
- Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Cephalalgia. 2018;38:1–211. https://doi.org/10.1177/0333102417738202
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修.頭痛の診療ガイドライン2021.医学書院.https://www.jhsnet.net/guideline.html
- Charles AC, Digre KB, Goadsby PJ, et al. Calcitonin gene-related peptide-targeting therapies are a first-line option for the prevention of migraine: An American Headache Society position statement update. Headache. 2024;64:333–341. https://doi.org/10.1111/head.14692
- Do TP, Remmers A, Schytz HW, et al. Red and orange flags for secondary headaches in clinical practice: SNNOOP10 list. Neurology. 2019;92:134–144. https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000006697

【本記事の執筆・医学監修】
■ 福田 匡志(ふくた まさし)
成田赤十字病院 リウマチ膠原病内科部長 / 柏五味歯科内科リウマチクリニック 医師
日本内科学会認定 総合内科専門医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医
👉 福田匡志医師の詳しい経歴・専門資格はこちら
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■ 春原 優子(はるはら ゆうこ)(総合内科専門医・消化器病専門医)
■ 福田 涼子(ふくた りょうこ)(日本歯内療法学会専門医)
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