- 2026年6月20日
【柏我孫子市・アレルギー総合内科】匂いがわからない難治性の鼻づまり「好酸球性副鼻腔炎」:手術を防ぐ最新の注射薬(生物学的製剤)
蓄膿症とは異なる。鼻茸(ポリープ)の再発を繰り返す指定難病と新しい治療の選択肢
「風邪でもないのに、ドロッとした粘り気の強い鼻水が出る」「においが全くわからない(嗅覚障害)」「鼻の中にポリープ(鼻茸)があると言われ、手術をしたのにすぐに再発してしまった」——そんな治りにくい鼻の症状でお悩みではありませんか?それは一般的な蓄膿症(細菌感染による慢性副鼻腔炎)ではなく、アレルギーが深く関わる「好酸球性副鼻腔炎(ECRS)」かもしれません。この病気は、放置すると喘息の悪化や聴力低下(好酸球性中耳炎)を招く恐れがあり、重症例は国の指定難病にも認定されています。今回は、この難治性の副鼻腔炎が起こる体の仕組みと、手術を回避し劇的な改善をもたらす最新の「生物学的製剤(注射薬)」について柏我孫子のアレルギー専門医が解説します。
1. 鼻茸(ポリープ)ができる「体の仕組み」
なぜ好酸球性副鼻腔炎では、鼻の中にブヨブヨとした鼻茸が多発するのでしょうか。外部からの刺激(ダニ、カビ、ウイルスなど)によって鼻の粘膜からアラーム物質(TSLPやIL-33など)が出ると、「2型炎症」という強いアレルギー反応が起こり、白血球の一種である「好酸球」が鼻の粘膜に大量に集まってきます。 健康な状態であれば、血を固める働き(凝固系)と溶かす働き(線溶系)のバランスが保たれていますが、この2型炎症が起きると、血液中のフィブリンという網目状のタンパク質が過剰に作られて粘膜に沈着します。この「フィブリン網」が水分を溜め込み、粘膜がパンパンに腫れ上がることで、巨大な鼻茸が形成されてしまうのです。
2. 喘息との深い関係とJESRECスコアによる診断
好酸球性副鼻腔炎の大きな特徴は、「気管支喘息」や「鎮痛剤(NSAIDs)に対するアレルギー(アスピリン喘息)」を高い確率で合併することです。上気道(鼻)と下気道(肺・気管支)は繋がっており、「一つの気道、一つの病気(One airway, one disease)」として捉える必要があります。 診断には、鼻の中のポリープの有無、CT画像での影の広がり、血液中の好酸球の割合、喘息などの合併の有無を点数化する「JESRECスコア」が用いられ、最終的には鼻茸の組織を採取して好酸球の数を顕微鏡で確認することで確定診断(および難病指定の判定)が行われます。
3. 手術を繰り返さないための最新治療「生物学的製剤」
これまでは、ステロイドの飲み薬や、内視鏡による鼻茸の切除手術が主な治療法でしたが、手術を行っても数年で再発してしまうケースが少なくありませんでした。しかし現在、炎症の根本原因をピンポイントで抑え込む画期的な注射薬(生物学的製剤)が登場し、治療の選択肢が大きく広がっています。
- デュピルマブ(デュピクセント®):炎症の司令塔であるIL-4とIL-13の働きをブロックします。フィブリン網を溶かすシステム(線溶系)を回復させることで鼻茸を強力に縮小させ、低下した「嗅覚」を取り戻す効果に非常に優れています。
- メポリズマブ(ヌーカラ®):好酸球の増殖・活性化に欠かせないIL-5の働きをブロックし、好酸球そのものを減らします。血中の好酸球数が非常に多い方や、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)などのリスクがある方に適しています。
4. 専門医による全身のトータルケア
これらの生物学的製剤は、過去にステロイド治療や手術を受けても再発してしまう重症の患者様が対象となります。また、鼻の治療だけでなく、合併する喘息などを同時にコントロールすることが極めて重要です。 「においを感じず、毎日の食事が美味しくない」「鼻茸の手術を勧められているが迷っている」という方は、ぜひ一度、総合内科・アレルギー疾患の専門医がいる当院へご相談ください。地域の耳鼻科と連携しながら適切な治療を行っていきます。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科・アレルギー専門医の視点から、好酸球性副鼻腔炎で鼻茸が形成されるメカニズムや、鼻と気管支の深い繋がりを、「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら解明し、あなたに最適な治療法(内服、点鼻、あるいは最新の生物学的製剤)をご提案します。私たちは、柏・我孫子エリアの皆様が、長引く鼻づまりや嗅覚障害によるストレスから解放され、食べ物の豊かな香りや味を楽しめる快適な毎日を取り戻せるよう、全力でサポートいたします。
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日本アレルギー学会. “アレルギー総合診療のための分子標的治療の手引き 2025”
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