• 2026年7月21日

【柏市我孫子市・総合内科専門医】アトピーの皮膚をウイルスが襲う?口唇ヘルペスから急激に広がる「カポジ水痘様発疹症」の体の仕組み

いつもの肌荒れとは違う「打ち抜き様の傷」。皮膚のバリア機能低下を狙うウイルスの脅威と、母子を救った迅速な治療

「もともとアトピー性皮膚炎があるけれど、数日前から口元にできた水ぶくれが、あっという間に顔全体や体に広がって痛痒い」「熱も出てきて、普通の湿疹とは何かが違う」――このような症状が急に現れた場合、それはいつものアトピーの悪化ではなく、ウイルスによる二次感染が起きているサインかもしれません。 今回、権威医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて、妊娠後期の女性を襲った「カポジ水痘様発疹症(Eczema Herpeticum)」の教訓的な症例が報告されました。今回はこの最新報告を参考に、壊れた皮膚のバリアをウイルスが突破する「体の仕組み」と、正しい診断による劇的な回復について柏我孫子の総合内科専門医が解説します。

1. 妊娠中の女性を襲った「顔中に広がる水ぶくれ」

これまでアトピー性皮膚炎を良好にコントロールできていた33歳の妊婦さん(妊娠34週)が、3日前から続く発熱と、痛みを伴う強いかゆみのある発疹を訴えて救急外来を受診しました。 発端は、唇にできた小さな「口唇ヘルペス」でした。しかし、そこから瞬く間に病変は顔全体、首、さらには胸や腕にまで広がっていきました。診察すると、赤く腫れた皮膚の上に無数の水ぶくれ(水疱)ができ、一部は「穴あけパンチで打ち抜いたような丸い傷(punched-out erosions)」や、かさぶた(痂皮)になっていました。

2. バリアが壊れた皮膚を狙う「体の仕組み」

皮膚から採取した液の遺伝子検査(PCR)を行った結果、原因は「単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)」であることが判明しました。診断名は「カポジ水痘様発疹症(Eczema Herpeticum)」です。 私たちの皮膚は、外からの細菌やウイルスの侵入を防ぐ強力な「バリア」の役割を果たしています。しかし、アトピー性皮膚炎などの皮膚の病気がある方は、このバリア機能が生まれつき、あるいは炎症によって弱まっています。そこに、普段は唇の端に少し水ぶくれを作るだけの大人しいヘルペスウイルスが感染すると、ウイルスは抵抗のない皮膚の表面を広範囲にわたって焼き尽くすように増殖してしまいます。これが、カポジ水痘様発疹症が重症化する恐ろしい「体の仕組み」なのです。

3. 迅速な抗ウイルス薬治療と、健康な赤ちゃんの誕生

この病気は、放置すると細菌の二次感染を起こしたり、全身にウイルスが回って重篤な状態に陥る危険があります。医師はただちに「アシクロビル」という抗ウイルス薬の点滴を開始しました。すると、ウイルスが増殖する機能がブロックされ、治療開始からわずか72時間後には水ぶくれがかさぶたに変わり、劇的な改善を見せました。 その後、患者さんは出産まで再発を防ぐためのお薬(バラシクロビル)を内服し続け、妊娠40週で無事に健康な赤ちゃんを自然分娩で出産することができました。5ヶ月後の診察では、顔の皮膚はわずかな痕を残すのみで、すっかり元通りの美しさを取り戻していました。

4. 異常を感じたら「ステロイドを塗る前」に受診を

アトピー性皮膚炎をお持ちの方が、「湿疹が悪化した」と勘違いして、カポジ水痘様発疹症の部位に強いステロイドの塗り薬を使ってしまうと、皮膚の免疫がさらに下がり、ウイルスが爆発的に増えて病状が致命的に悪化してしまいます。 「急に水ぶくれが増えた」「丸くえぐれたような傷がある」「発熱や強い痛みを伴う」といった場合は、自己判断でお薬を塗らず、全身の感染症を的確に見極めることができる医療機関へ速やかにご相談ください。

柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、免疫の低下やバリア機能の異常がどのような**「体の仕組み」で全身の感染症を引き起こすのかを的確に分析し、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持つ患者様が安全に生活できるようトータルでサポートいたします。当院の内科(アレルギー・リウマチ・発熱外来)は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お忙しい方の急な肌のトラブルや発熱のご相談にもしっかり対応いたします。また、お口の周りのヘルペスや粘膜のトラブルに関しても、当院の歯科(土曜日午後2時まで診療)**と医科が連携し、迅速かつ的確な診断と治療をご提供します。柏・我孫子エリアで原因不明の症状にお悩みの方は、手遅れになる前にかかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。

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Heba H.A.H.Y. AlBaloul, Carson K.L. Lo. “Eczema Herpeticum.” New England Journal of Medicine. 2026; 394: 1215.

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