- 2026年7月22日
【柏市我孫子市・総合内科】放置した中性脂肪が膵臓を溶かす?激しい腹痛と「被包化膵死滅組織」の恐ろしい体の仕組み
自分自身の消化酵素が内臓を破壊する。巨大な膿の塊と化した膵臓を救った低侵襲手術の証明
健康診断で「中性脂肪(トリグリセリド)が高い」と指摘され、「痛くも痒くもないから」と放置していませんか?血液中の脂肪分が異常に増えると、動脈硬化が進むだけでなく、みぞおちから背中にかけて七転八倒するほどの激痛を伴う「急性膵炎」を引き起こすことがあります。 今回、権威医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて、高トリグリセリド血症が引き金となった急性壊死性膵炎の退院後に、再び激しい腹痛と発熱に襲われた65歳女性の「被包化膵壊死(Walled-Off Pancreatic Necrosis : WOPN)」という重篤な合併症の症例が報告されました。今回はこの最新報告に基づき、中性脂肪が膵臓をドロドロに溶かしてしまう「体の仕組み」と、生活習慣病の徹底管理の重要性について柏我孫子の総合内科専門医が解説します。
1. 退院からわずか3週間で再発した「激痛と発熱」
この65歳の女性は、重度の「高トリグリセリド血症(中性脂肪の異常高値)」が原因で急性壊死性膵炎を発症し、9週間もの長期入院を経て無事に退院していました。しかし、退院からわずか3週間後、再び5日間にわたる激しい腹痛と発熱が現れ、病院へ逆戻りすることになってしまったのです。 医師の診察時には上腹部に強い圧痛があり、すぐに腹部CT検査が行われました。その結果、膵臓の周囲から両側の後腹膜にかけて、ガス(空気)と隔壁を伴う巨大な液体の塊が形成されていることが判明しました。
2. 膵臓が溶けて膿の袋になる「体の仕組み」
膵臓は、私たちが食べたお肉や脂肪を強力に溶かす「消化酵素」を作る臓器です。しかし、中性脂肪が極端に高くなると、この強力な酵素が膵臓の「中」で誤って活性化してしまい、膵臓自身やその周りの脂肪をドロドロに溶かして壊死させてしまいます(急性壊死性膵炎)。 急性膵炎の発症から数週間が経過すると、人間の体はこの「溶けて死んでしまった組織(壊死組織)」や「漏れ出した液体」が全身に広がるのを防ぐため、分厚い壁(被膜)を作って袋状にパックしようとします。これが「被包化膵死滅組織(WOPN)」です。この袋の中に腸の細菌などが入り込んで感染を起こすと、今回のようにガスが発生し、敗血症など命に関わる重篤な状態を引き起こすという恐ろしい体の仕組みが存在するのです。
3. ドレナージが効かない巨大な壊死組織
医師はただちに強力な広域抗菌薬を投与し、皮膚の上から管を刺して膿を抜く治療(経皮的ドレナージ)を開始しましたが、女性の状態は一向に良くなりませんでした。ドロドロの壊死組織が固まりとなって管に詰まってしまうためです。 通常であれば、次は胃カメラ(内視鏡)を使って胃の壁越しに膿を吸い出す治療が行われますが、今回のケースではさらに踏み込み、背中側からカメラを入れて直接死んだ組織を取り除く「低侵襲後腹膜壊死組織切除術」という外科的処置が選択されました。
4. 根本原因である「生活習慣病」を断ち切る
この手術によって物理的に壊死組織を取り除くことで、女性はようやく回復に向かい、術後3週間で退院することができました。2年後の経過観察では、膵臓のインスリンを出す機能(内分泌機能)や消化液を出す機能(外分泌機能)は奇跡的に正常に保たれており、何より再発の根本原因であった「高トリグリセリド血症」がしっかりとコントロールされていました。 「中性脂肪」はただのお腹の贅肉ではありません。ひとたび暴走すれば、このように臓器を溶かし、長期間にわたって命を脅かす恐ろしいリスクを秘めています。健康診断で異常を指摘された方は、取り返しのつかない合併症を起こす前に、ぜひ早期の治療をご検討ください。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、高トリグリセリド血症や糖尿病などの生活習慣病がどのような**「体の仕組み」で全身の臓器を破壊していくのかを丁寧に紐解き、患者様お一人おひとりに合わせた最適な治療をご提案します。当院の内科(生活習慣病・リウマチ・発熱外来)は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お忙しい方の通院や、お薬の管理にもしっかり対応いたします。また、お口の中の細菌が全身の血管に悪影響を及ぼすのを防ぐため、当院の歯科は土曜日午後2時(14時)まで**診療を行っております。医科と専門的な歯科が一つ屋根の下で連携し、皆様の健康な未来を守り抜く体制を整えておりますので、柏・我孫子エリアでトータルな健康管理をご希望の方は、かかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。
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Zhuo-Long Tu, Jin-Fu Tu. “Walled-Off Pancreatic Necrosis.” New England Journal of Medicine. 2026; 394: e22.
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