• 2026年7月22日

【柏我孫子市・総合内科】DNAの「バグ」を直接書き換える新時代。難病「慢性肉芽腫症」を根本から治す最新の遺伝子治療と免疫の体の仕組み

細菌と戦う武器が作れない病。二本鎖を切らずに遺伝子を「精密に修理する」画期的な医学的証明

私たちの血液の中にある白血球(好中球など)は、体内に侵入した細菌やカビ(真菌)を飲み込み、「活性酸素」という強力な武器(毒)を放出して退治してくれます。しかし、生まれつきこの武器を作るための遺伝子にエラーがあり、重篤な感染症を何度も繰り返してしまう指定難病があります。それが「慢性肉芽腫症(CGD)」です。 これまで、この病気を根本から治すには他人の健康な骨髄を移植するしかなく、強い拒絶反応などの命に関わるリスクがありました。しかし今回、権威医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて、患者さん自身の細胞のDNAを「切らずに、狙った文字だけを正確に書き換える(プライムエディティング)」という、まるでSF映画のような最新の遺伝子治療の臨床試験結果が発表されました。今回は、白血球が武器を失う「体の仕組み」と、次世代の医療が切り拓く希望について今回の発表を柏我孫子の総合内科専門医が解説します。

1. 武器を作れない白血球と「CGD」の恐怖

CGDは、活性酸素を作り出すための「NADPHオキシダーゼ」という酵素の部品(タンパク質)がうまく作れない病気です。ばい菌を細胞の中に取り込むことはできても、とどめを刺す武器がないため、菌が体内で生き延びてしまいます。その結果、患者さんは幼少期から命に関わる重い肺炎や肝膿瘍などの感染症を繰り返し、さらには体が過剰に反応して腸などに慢性的な炎症(炎症性腸疾患など)を引き起こすという、過酷な「体の仕組み」を抱えることになります。 欧米などで多い「p47-CGD」というタイプでは、原因となる遺伝子(NCF1)の設計図に「たった2つの文字(塩基)が欠けている(delGT)」ために、この悲劇が起きています。

2. DNAを切らずに「文字を入力する」プライムエディティング

これまでも遺伝子治療の研究は行われてきましたが、従来の技術(通常のCRISPR-Cas9など)は「DNAの二本鎖をバッサリ切断する」必要があり、意図しない遺伝子の破壊や染色体異常(オフターゲット効果)を引き起こすリスクがありました。 そこで今回開発された新薬「PM359」は、「プライムエディティング(Prime Editing)」という最新技術を用いています。これは、患者さん自身の骨髄の細胞(CD34+造血幹細胞)を取り出し、二本鎖を完全に切断することなく、足りなかった「GT」という2文字だけを正確に入力して(書き換えて)設計図を修理し、再び体内に戻すという極めて精密で安全性の高い技術です。

3. 白血球が「自らの武器」を取り戻した劇的な成果

今回の試験では、重い腸炎などを患う2名のCGD患者さんに、この書き換えられた細胞(PM359)が投与されました。 その結果は驚くべきものでした。治療後、患者さんの骨髄に細胞が速やかに定着し、わずか1ヶ月後には血液中の白血球(好中球)が、健康な人と同等レベルの「活性酸素(ばい菌と戦う武器)」を作り出せるようになったのです。この機能の回復は最後の確認時点(それぞれ6ヶ月後、4ヶ月後)でもしっかりと維持されており、患者さんを苦しめていた腸の炎症の数値も劇的に改善しました。

4. 「対症療法」から「根本治療」の時代へ

細胞の設計図そのものを精密に修理する技術は、これからの医療の常識を根底から覆す可能性を秘めています。 当院では直接の遺伝子治療や骨髄移植は行っておりませんが、内科やリウマチの治療においても、特定の遺伝子やタンパク質をピンポイントで狙い撃ちにする分子標的薬の技術が次々と実用化されています。医学の驚異的な進歩を正しく理解し、ご自身の病態やお薬の「体の仕組み」を知ることは、前向きに治療に取り組むための最大の武器となります。

柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、遺伝子や免疫の異常がどのようにして全身の病気を引き起こすのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、皆様のトータルな健康管理をサポートいたします。当院の内科(リウマチ・生活習慣病診療)・発熱外来は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お忙しい方のご相談や、長引く不調の根本原因の究明にもしっかり対応いたします。 また、免疫力が低下している方にとって、お口の中の細菌が肺に入り込む「誤嚥性肺炎」や「歯周病」は命に関わる重大なリスクとなります。当院の歯科は土曜日午後2時(14時)まで診療を行っております。医科と専門的な歯科が一つ屋根の下で緊密に連携し、全身のバリア機能を守り抜く体制を整えておりますので、柏・我孫子エリアでトータルな健康管理をご希望の方は、かかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。

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J.L. Gori, E. Haddad, H. Frangoul, et al. “Prime Editing for p47phox-Deficient Chronic Granulomatous Disease.” New England Journal of Medicine. 2026; 394: 1195-1203.

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