- 2026年6月30日
【柏我孫子市・脳神経疾患】MERS(可逆性脳梁膨大部病変を伴う軽度脳炎脳症):意識障害と免疫暴走の仕組みを解説
子どもだけの病気ではない。脳のバリアが壊れ、尿閉や意識障害を招く成人MERSの真実
「数日前から熱や下痢が続いていたと思ったら、急に言葉が出なくなったり、意識がぼんやりしてきた」――そんな恐ろしい症状を引き起こす病気があります。それが「MERS(可逆性脳梁膨大部病変を伴う軽度脳炎脳症)」です。 主に小児の発熱に伴って発症することが多く、「数日で自然に良くなる軽症の病気」として知られていますが、近年、大人(成人)が発症した場合には決して良性とは限らず、強力な免疫抑制治療が必要になるケースがあることが分かってきました。今回は、国内の成人MERS症例の報告に基づき、ウイルス感染などをきっかけに脳に異常が起こる「体の仕組み」と、専門的な免疫治療の重要性について柏我孫子の自己免疫疾患を専門とする総合内科専門医が解説します。
1. 風邪や胃腸炎から脳への波及:MERSの「体の仕組み」
MERSは、発熱や下痢、嘔吐といった一般的な感染症の症状から始まります。その後1週間以内に、見当識障害(今どこにいるか分からない)や、けいれん、尿が出なくなる(尿閉)、言葉がうまく話せない(構音障害)といった神経の異常が現れます。 この時、患者様の頭部MRI検査(拡散強調画像)を撮影すると、左右の脳をつなぐ「脳梁膨大部」という場所に、白く光る異常な信号(病変)がはっきりと確認されます。
2. 脳を守るバリア(BBB)の崩壊と免疫の暴走
なぜ、ただの感染症から脳の異常が起こるのでしょうか?私たちの脳には、血液中の有害な物質や細菌が脳内に入るのを防ぐ「血液脳関門(BBB)」という強力なバリアがあります。 しかし、成人MERSの重症例では、髄液検査でインターロイキン-6(IL-6)という炎症物質が異常に高くなり、このBBBが破綻してしまっていることが示唆されています。脳を守るはずの免疫システムが過剰に働き(免疫の暴走)、脳の細胞にむくみ(浮腫)を引き起こすことで、意識障害などの重大な症状が現れると考えられています。
3. 大人には「強力な免疫治療」が必要
小児のMERSは多くが10日以内に自然回復しますが、成人の場合は注意が必要です。成人患者さんは、いずれも自然軽快が難しく、点滴で大量のステロイドを投与する「ステロイドパルス療法」を必要とする例が多く、さらに重症なケースでは、ステロイドだけでは効果が不十分であり、血液中の有害な物質を直接取り除く「免疫吸着療法(IAPP)」や、「免疫グロブリン大量点滴静注療法(IVIg)」といった、追加の免疫治療を行うことで改善に向かう症例があります。
4. 症状を見逃さず、迅速な専門治療へ
MERSの脳の病変は「可逆性」であり、適切なタイミングで治療を行えば後遺症なく消失します。しかし、「大人のMERSは自然に治る軽い病気ではない」という認識を持つことが非常に重要です。 「熱が続いた後に、様子がおかしい」「おしっこが出ないと言っている」など、ご自身やご家族に少しでも気になる神経のサインが現れた場合は、決して自己判断で様子を見ず、早急に全身の状態を評価できる医療機関へご相談ください。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、見逃されがちなウイルス感染後の免疫異常や、それが脳・全身に波及していく**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、原因不明の不調に対する正確な診断と最適な治療への道筋をご提案します。私たちは、柏・我孫子エリアの皆様が、重大な疾患の不安から解放され、ご家族揃って安心で健やかな毎日を楽しめるよう、病診連携を密にし、全力でサポートしております。
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