• 2026年7月23日

遺伝性疾患治療の現在地:2026年時点における疾患治療成果のまとめ。HIV・デュシャンヌ型筋ジストロフィー(DMD)・βサラセミア・鎌状赤血球症・血友病・アミロイドーシス・レーバー先天性黒内障。柏我孫子の総合内科専門医が解説。

私たちの体を形作る設計図である「DNA」。その一部に生まれつきのエラー(変異)があることで発症する遺伝性の難病は、これまで「根本的には治らない病気」とされてきました。 しかし今、「CRISPR-Cas9」などに代表される、DNAの狙った場所をピンポイントで切り貼りする「ゲノム編集」技術が次々成果をあげ、実際の患者様の治療に応用されています。今回、世界で進められているゲノム編集の医学応用の現在地(2026年時点)について不治の病を根本から治す「体の仕組み」と、次世代の医療について柏我孫子の総合内科専門医が解説します。

1. HIVをブロックする「バリア」を細胞に作る

世界で初めてヒトにゲノム編集が応用されたのは、エイズの原因となるHIV感染症でした。HIVは、人間の免疫細胞(T細胞など)の表面にある「CCR5」というタンパク質のドアノブを利用して細胞内に侵入します。 欧米のごく一部の人は、生まれつきこのCCR5を持っておらず、HIVに感染しにくいことが知られていました。そこで、患者から取り出したT細胞のCCR5遺伝子をゲノム編集で破壊し、HIVが侵入できない「バリア」を持った細胞を体内に戻すという治療が行われました。これにより、一部の患者では抗HIV薬を飲まなくてもウイルスが抑え込まれるという画期的な成果が出ています。

2. 遺伝子の「エラー部分」だけを読み飛ばす

男児の筋肉が次第に壊れていく進行性の難病「デュシャンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」では、筋肉の膜を安定させるジストロフィン遺伝子に異常があります。この遺伝子は非常に大きいため、正常な遺伝子をまるごと外から入れる従来の遺伝子治療は困難でした。 そこでゲノム編集を用い、エラーが起きている部分(エクソン)を「飛び越えて読み込む(エクソンスキッピング)」ようにDNAを書き換える治療が開発されました。これにより、少し短くても機能を持つジストロフィンタンパク質を自ら作り出せるようになり、動物実験ではすでに筋肉の強さが改善することが証明されています。

3. 眠っている「胎児の遺伝子」を目覚めさせる

酸素を運ぶ赤血球のヘモグロビンに異常があり、重い貧血や血管の詰まりを起こす「βサラセミア」や「鎌状赤血球症」という血液の難病があります。 人間は、お腹の中にいる胎児の時には酸素を多く運べる「胎児型のヘモグロビン」を作っていますが、大人になるとBCL11Aという遺伝子がブレーキをかけてその産生を止めてしまいます。そこで、ゲノム編集を使って患者さんの造血幹細胞の「ブレーキ(BCL11A)」を外し、再び胎児型ヘモグロビンを大量に作らせるという治療が行われました。その結果、輸血が全く不要になるほどの劇的な回復が見られたことが報告されています。まもなく保険適応に至ります。

4. 静脈注射で直接DNAを狙い撃ちにする

さらに技術は進歩し、体外で細胞を編集して戻すだけでなく、薬として体内に直接投与する治療も始まっています。 異常なタンパク質が全身の臓器に溜まる「トランスサイレチンアミロイドーシス」では、ゲノム編集ツールを脂質のカプセル(脂質ナノ粒子)に包んで静脈注射するだけで、肝臓にある原因遺伝子が破壊され、血中の異常タンパクが平均52~87%も激減することが確認されました。また、失明に至る目の難病(レーバー先天性黒内障)に対しても、直接目に注入して遺伝子を修復する生体内ゲノム編集治療が進んでいます。

これらは単なる未来の話ではなく、すでに目の前にある現実の医療です。細胞の「体の仕組み」を解き明かすことで、人類はついに不治の病を克服する大きな一歩を踏み出しています。

柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、遺伝子や免疫のエラーがどのようにして全身の病気を引き起こすのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、皆様のトータルな健康管理をサポートいたします。当院では直接のゲノム編集治療は行っておりませんが、病気の根本原因を正しく理解することは、現在の最新の分子標的薬などを的確に使いこなし、前向きに治療に取り組むための強力な土台となります。当院の内科(リウマチ・生活習慣病診療)・発熱外来は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お忙しい方の長引く不調や専門的な治療のご相談にもしっかり対応いたします。また、お口の細菌が全身の免疫系や臓器に悪影響を及ぼすのを防ぐため、当院の歯科は土曜日午後2時(14時)まで診療を行っております。医科と専門的な歯科が一つ屋根の下で緊密に連携し、見えないリスクから皆様の健康を守り抜く体制を整えておりますので、柏・我孫子エリアでトータルな健康管理をご希望の方は、かかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。

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