- 2026年7月23日
未来の新薬からGABAトマトまで。治療枠を超える「ゲノム編集」と生命の設計図が紐解く体の仕組みを柏我孫子の総合内科専門医が解説。
食卓の革命からiPS細胞を使った難病創薬へ。遺伝子編集がもたらす日進月歩の私たちの新しい日常
生命の設計図であるDNAをピンポイントで書き換える「ゲノム編集」技術。実はゲノム編集の活躍の場は「病院のベッドの上」だけにとどまりません。 私たちの毎日の食卓に並ぶ野菜や魚の品種改良から、未来の新薬を安全に生み出すための細胞研究に至るまで、ゲノム編集はすでに社会のあらゆる場面で実用化され始めています。人間の治療以外の分野で活躍するゲノム編集の応用例と、そこから紐解かれる「体の仕組み」について柏市・我孫子市の総合内科専門医が解説します。
1. GABAトマトと肉厚マダイ:品種改良のスピード革命
これまで、美味しい農作物や病気に強い家畜を作るための「品種改良」は、偶然の突然変異や長年の交配に頼るものであり、気の遠くなるような時間が必要でした。しかしゲノム編集を使えば、狙った好ましい性質を極めて短期間で引き出すことができます。 すでに日本で販売されている例として、「GABA(血圧を下げたりリラックス効果があるアミノ酸)」を通常の4〜5倍も多く含むトマト(シシリアンルージュハイギャバ)があります。これは、GABAを作る酵素の「ブレーキ(活性を抑制する部分)」をゲノム編集で外すことで、常にGABAが作られ続ける体の仕組みを利用したものです。また、筋肉の増殖を抑えるミオスタチンという遺伝子の働きをなくし、食べられる部分(筋肉)を増やした「肉厚のマダイ」も開発されています。 重要なのは、これらは別の生物の遺伝子を入れる「遺伝子組換え」とは異なり、自然界でも起こりうるDNAのわずかな欠失を人工的に再現したものであるという点です。
2. 種差を埋める「動物モデル」の進化
新しい薬を開発する際、いきなり人間に薬を使うことはできないため、まずは同じ病気を持った「疾患モデル動物」を使って効果や安全性を確かめます。従来はマウスが主流でしたが、人間とマウスでは解剖学的な構造や薬の効き方(代謝)に大きな「種差」があり、マウスで効いた薬が人間で効かないことが多々ありました。 そこで現在、人間と臓器の大きさが似ているブタや、霊長類であるサルなどの受精卵にゲノム編集を施し、糖尿病やパーキンソン病、アルツハイマー病などの疾患モデル動物が次々と作製されています。これにより、人間に近い体の仕組みで薬の効果を正確に検証することが可能になっています。
3. iPS細胞と融合した「究極の創薬ツール」
さらに画期的なのが、動物を使わずに「人間の細胞そのもの」を使って薬を開発するアプローチです。 患者様から作ったiPS細胞(あらゆる細胞になれる万能細胞)に、ゲノム編集で特定の「病気の原因となる遺伝子エラー」を組み込みます。それを心臓の細胞や神経の細胞に成長させることで、培養皿の上に「患者様の病気を完全に再現した人間の細胞モデル」を作り出すことができるのです。 動物の種差による失敗を防ぎ、効果のある化合物をいち早く見つけ出すこの技術は、これまで原因不明だった希少疾患などの病態解明や、安全な新薬開発を劇的に加速させる「究極の創薬ツール」として世界中で期待を集めています。
ゲノム編集技術は、医療、食、そして科学の根本を支えるインフラになりつつあります。最先端の技術がどのようにして命を救う薬に繋がっていくのかを知ることは、私たちが現在の医療を前向きに捉え、安心して治療を受けるための大きな力となります。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、遺伝子や免疫の異常がどのようにして全身の病気を引き起こすのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、皆様のトータルな健康管理をサポートいたします。当院では直接のゲノム編集治療は行っておりませんが、病気の根本原因や最新の創薬技術を正しく理解することは、現在の最新の分子標的薬などを的確に使いこなすための強力な土台となります。当院の内科(リウマチ・生活習慣病診療)・発熱外来は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お忙しい方の長引く不調や専門的な治療のご相談にもしっかり対応いたします。また、お口の細菌が全身の免疫系や臓器に悪影響を及ぼすのを防ぐため、当院の歯科は土曜日午後2時(14時)まで診療を行っております。医科と専門的な歯科が一つ屋根の下で緊密に連携し、見えないリスクから皆様の健康を守り抜く体制を整えておりますので、柏・我孫子エリアでトータルな健康管理をご希望の方は、かかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。
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