• 2026年7月23日

次世代ゲノム編集とエピゲノムの体の仕組み:CRISPR-Cas9から「CRISPR-Cas3」「TiDシステム」へ。柏我孫子の総合内科専門医がその変移を丁寧に解説。

人間の設計図であるDNAの異常を根本から修理する「ゲノム編集」技術は、現代医学の常識を劇的に変えつつあります。これまでの代表的なゲノム編集技術(CRISPR-Cas9など)は、DNAの二本鎖を「分子のハサミでバッサリと切断する」ことで遺伝子を改変していましたが、想定外の場所が削れたり、意図しない変異が起きてしまうリスク(オフターゲット効果)が課題とされていました。しかし現在、DNAを完全に切断せずに、極めて安全かつ精密に治療を行う「ゲノム編集2.0」と呼ばれる画期的な技術が続々と実用化に向けて進んでいます。今回は、権威医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて、患者さん自身の細胞のDNAを「切らずに、狙った文字だけを正確に書き換える(プライムエディティング)」によりCD34+造血幹細胞の「GT」欠損により生じる慢性肉芽腫症が劇的に改善している論文が発表されたことから、私たちの細胞を操る最新技術と「体の仕組み」について柏我孫子の総合内科専門医が勉強し、ていねいに解説します。

1. 一文字だけを正確に直す「塩基編集」

人間のDNAは、A、T、C、Gという4つの文字(塩基)の組み合わせで書かれています。「塩基編集」は、DNAを切断する代わりに「脱アミノ化酵素(デアミナーゼ)」という特殊なタンパク質を使い、例えば間違っている「C」という文字だけをピンポイントで「T」に変換する技術です。 DNAの二本鎖を切らないため細胞への毒性が低く、より正確な修復が可能です。さらに、従来の技術では難しかった「細胞分裂をしていない組織(神経や心筋など)」でも安全に遺伝子のエラーを修理できるという素晴らしい利点があります。

2. 自由に文章を挿入する「プライム編集」

塩基編集は一文字の書き換えには優れていますが、失われた長い文章(新たなDNA配列)を付け足すことはできません。そこで登場したのが「プライム編集」です。 これは、逆転写酵素(RNAを読み取ってDNAを合成する酵素)を利用して、DNAの片側だけに切れ込みを入れ、そこに「正しい設計図の配列」を直接入力して挿入するという、まるでワープロのような精密な技術です。DNAを完全に分断しないため、望まない変異を回避しながら、安全に細胞の設計図を書き換えることが可能になっています。

3. 遺伝子のスイッチを操作する「エピゲノム編集」

別技術として、DNAの文字(配列)自体は一切変えずに病気を治す「エピゲノム編集」が挙げられます。私たちの体は、心臓の細胞も皮膚の細胞も全く同じDNAを持っていますが、DNAのメチル化やヒストンのアセチル化といった「修飾(エピゲノム)」によって、遺伝子のスイッチがオンになったりオフになったりする体の仕組みを持っています。 このエピゲノムは環境や加齢によって変化し、がんや精神疾患の原因にもなります。エピゲノム編集は、この修飾状態を人工的にコントロールすることで、例えば「がん細胞の中で眠ってしまった『がん抑制遺伝子』のスイッチを再びオンにする」といった画期的な治療を可能にします。

4. 日本発の技術が切り拓く未来の医療

世界中で開発競争が進む中、日本からも「CRISPR-Cas3」や「TiDシステム」といった、特異性が高く誤った編集のリスクが非常に低い独自の次世代ゲノム編集ツールが誕生しています。 これらは単なる未来の技術ではなく、すでに実際の難病治療や診断への応用が進められています。当院では直接の遺伝子治療は行っておりませんが、様々な病気の根底にある「遺伝子や免疫の異常」という体の仕組みを深く理解することは、現在の最新の薬物療法(分子標的薬など)を的確に使いこなし、患者様のトータルな健康を守る上で極めて重要です。

柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、遺伝子や免疫のエラーがどのようにして全身の病気を引き起こすのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、皆様の健康管理をサポートいたします。当院の内科(リウマチ・生活習慣病診療)・発熱外来は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お忙しい方のご相談や、長引く不調の根本原因の究明にもしっかり対応いたします。また、お口の細菌が全身の免疫系や血管に悪影響を及ぼすのを防ぐため、当院の歯科は土曜日午後2時(14時)まで診療を行っております。医科と専門的な歯科が一つ屋根の下で緊密に連携し、見えないリスクから皆様の健康を守り抜く体制を整えておりますので、柏・我孫子エリアでトータルな健康管理をご希望の方は、かかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。

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