• 2026年7月20日

劇症型ウェルシュ菌菌血症(Clostridium perfringens)による大規模な血管内溶血症例:柏我孫子の総合内科専門医が解説

遠心分離しても血が分かれない。細菌の毒素が血液をドロドロに溶かす、極めて稀で恐ろしい医療現場のリアル

「昨日までは少しだるい程度だったのに、たった1日で命に関わるショック状態に陥ってしまった」——ご高齢の方や糖尿病などの持病がある方において、感染症(敗血症)は時に信じられないほどのスピードで全身の臓器を破壊します。 今回、権威医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて、1日前からの倦怠感と息苦しさで救急搬送された73歳女性を襲った、「ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)」による劇症型感染症の非常に衝撃的な画像と症例が報告されました。今回はこの最新報告に基づき、病原菌が人間の血液そのものを溶かしてしまう恐ろしい「体の仕組み」と、持病の管理を通じた感染予防の重要性について専門医が解説します。

1. 検査すらできない「溶けてしまった血液」

2型糖尿病を患っていたこの73歳の女性は、救急外来に到着した時点で、血圧が測定できず意識がもうろうとする重篤な「ショック状態」に陥っていました。 医師はすぐに点滴や検査をするため血液を採取しましたが、ここで異変が起きます。通常、血液を検査用の機械(遠心分離機)にかけると、重い「血球成分(赤血球など)」が下に沈み、上澄みには透明な黄色い液体(血漿)が分離されます。しかし、彼女の血液は遠心分離をしても真っ赤なままで、まるで「ただの赤い水」のように均一でした。これは、血管の中で大量の赤血球が破裂して中身が漏れ出してしまう「高度の溶血」が起きていることを意味していました。

2. 血液を破壊する「毒素」の体の仕組み

懸命な救命処置が行われましたが、血圧は戻らず、患者さんは病院到着からわずか45分後に心肺停止となり亡くなられました。 亡くなられた後の血液を顕微鏡で詳しく調べると、ヘモグロビンが抜け落ちて「幽霊(ゴーストセル)」のようになった赤血球の残骸の中に、無数の細菌が泳いでいるのが見つかりました。血液培養検査の結果、「ウェルシュ菌(C. perfringens)」と「肺炎桿菌」が原因であることが判明しました。 ウェルシュ菌は、食中毒の原因菌として知られていますが、一度血管の中に入り込むと「α毒素」という非常に強力な毒素を放出します。この毒素が赤血球の膜(細胞膜)を直接破壊し、全身の血をドロドロに溶かしてしまう(大規模な血管内溶血)という、極めて恐ろしい体の仕組みを持っています。

3. 「見えない感染源」と免疫低下の罠

なぜこれほど恐ろしい菌がこの女性の血液の中に大量に入り込んでしまったのでしょうか。医師たちは、腸の中にいた菌が血液に侵入した(消化管由来の菌血症)のではないかと疑いましたが、解剖をしても確実な侵入経路は特定できませんでした。 私たちがここから学ぶべき重要な教訓は、「2型糖尿病などの持病があると、免疫のバリア機能が低下し、普段なら防御できるはずの細菌が一気に全身に回ってしまうリスクがある」ということです。高血糖状態が続くと白血球(ばい菌と戦う細胞)の働きが鈍くなり、今回のような致命的な感染症の引き金となってしまいます。

4. 異常を感じたら「時間との勝負」です

ウェルシュ菌による敗血症や大規模な溶血は非常に稀ですが、ひとたび発症すれば致死率は極めて高く、時間単位で命が奪われます。 「昨日から急に息が苦しい」「体がだるくて熱が下がらない」「意識がぼんやりしている」といったご家族の急な変化を見逃さず、一刻も早く医療機関を受診することが命を救う唯一の手段です。また、このような悲劇を防ぐためには、日頃から糖尿病や高血圧などの生活習慣病を徹底的にコントロールし、全身の「免疫の壁」を高く保っておくことが何よりの防衛策となります。

柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、細菌やウイルスがどのような**「体の仕組み」で全身の臓器を攻撃するのかを的確に分析し、重症化を防ぐための徹底した生活習慣病管理(糖尿病・高血圧などのコントロール)をご提案します。当院の内科(生活習慣病・リウマチ・発熱外来)は土曜日の午後も17時まで診療を行っており、平日お忙しい方の急な体調不良や、血糖値の管理のご相談にもしっかり対応いたします。また、お口の中の細菌が血液に乗って全身に回るのを防ぐため、当院の歯科は土曜日午後2時(14時)まで**診療を行っております。医科と専門的な歯科が一つ屋根の下で連携し、見えない感染リスクから皆様の健康を守り抜く体制を整えておりますので、柏・我孫子エリアでトータルな健康管理をご希望の方は、かかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。

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Ann Tran, Carol Lee. “Massive Intravascular Hemolysis from Clostridium perfringens Bacteremia.” New England Journal of Medicine. 2026; 394: e19.

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